レッドソックス澤村拓一「気持ちが空回りしていた」。オープン戦序盤は不調も昇り調子へ (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

「自分のやることを、しっかりやるということだけ。チームで戦っていく」

 そう語る澤村は、メジャーリーグでどんな物語を紡いでいくのか。かつて"赤靴下軍団"のユニフォームを着た先輩たち同様、熱狂的なファンが多いフェンウェイ・パークでその実力を認めさせることができるのか。

 振り返れば、2013年――。澤村が尊敬する上原がワールドシリーズ制覇の立役者になったこの年の快進撃は劇的だったが、実はその前年のレッドソックスもア・リーグ東地区最下位と低迷していた。2013シーズンも開幕前の下馬評は低かったが、だからこそこの年の優勝はドラマチックであり、上原の活躍も伝説となったのだ。

 時は流れ、2021年。上原から背番号19を受け継いだ日本人投手が、同じように前年最下位のチームをブルペンから助けられたら、チームにもチャンスが生まれる。もちろん簡単なことではないが、澤村が大先輩を彷彿とさせるような活躍を見せれば、熱狂的なボストニアンは大いに湧き上がるはずである。

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