大谷翔平、今季が二刀流のラストチャンスか。現地記者が語る年俸とその評価 (2ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by Kyodo News

 期限日以降も交渉を続けることは可能だが、それでも契約がまとまらない場合は2月に行なわれる年俸調停委員会の聴聞会で裁定される。エンゼルスは伝統的に聴聞会で決着をつけることを選択する球団なため、大谷の契約もそこで決まるだろうと米メディアは予想している。

 地元紙でエンゼルスの番記者を務めるジェフ・フレッチャー記者は、「大谷の交渉が聴聞会に持ち越されるとは驚きました」と言い、「聴聞会までいくのは毎年150人中10〜15人程度。大谷がそのうちのひとりになるとは......」と、予想外の出来事だったことを明かした。

 1月15日以降、米メディアは大谷の特集記事を組んだ。

 スポーツメディアの『ジ・アスレチック』は、大谷の年俸査定を詳しく取り上げた。エンゼルスの提示額は昨季の年俸70万ドル(約7240万円)を基準にした額だという。二刀流での貢献度が期待されていたが、昨季の成績(打者:44試合出場して打率.190、7本塁打。投手:2試合に先発して0勝1敗、防御率37.80)は2018年に新人王を獲得した選手に相応しくないことや、投手として全休したトミー・ジョン手術明けの2019年を差し引いても、3年で53回1/3の登板結果は期待外れだったため、この金額になったのではないかと分析している。

 さらに同記事では、年俸予測のエキスパート、マット・スワーツ氏が過去の成績を基に大谷の適正年俸を独自に算出。それによると適正年俸は210万〜300万ドル(約2億1700万〜約3億1000万円)。エンゼルスの提示額はこの予想のほぼ中間だ。

 エンゼルスの主張に同意する米メディアは少なくない。昨季の成績の低迷やこれまでの負傷歴を考えると、二刀流継続には米メディアからも疑問の声が上がっている。

 一方、大谷の代理人CAA(クリエーティブ・アーティスツ・エージェンシー)による「二刀流で、他のDH選手とは本質的に違う価値を球団に提供できる」という主張に賛同するファンも多い。「決して高額を希望しているわけではない」、「長期的に必要な存在」、「彼の希望に合わせるべきだ」という声もあり、現地でも意見は割れている。

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