ダルビッシュの「魔球」にライバルも羨望。興味深いデータの数々
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福島良一「MLBコアサイド」
1973年の初渡米から47年にわたってメジャーリーグの造詣を深めてきた福島良一氏に、さまざまな魅力を伝えてもらう「MLBコアサイド」。今回はダルビッシュ有投手について語ってもらいました。
ダルビッシュ有はサイ・ヤング賞を獲得することができるか ナ・リーグ中地区で首位を走るシカゴ・カブスのエース、ダルビッシュ有投手が今シーズンは一層の輝きを放っています。
9月23日現在、リーグ1位タイの7勝、6位の防御率2.22、4位タイの88奪三振と、自身初となる最多勝と2度目の奪三振王タイトルを狙える位置につけています。9月の初めには「投手三冠」に躍り出るなど、今季のサイ・ヤング賞の最有力候補のひとりと言って間違いありません。
ダルビッシュ投手のピッチングについて、MLB公式サイトが興味深いデータを載せていました。その記事によると、今季のダルビッシュは時速90マイル台後半(約158キロ)から60マイル台前半(約100キロ)まで幅広い球速を自在に操り、そのなかで実に11種類もの球種を使い分けているのです。
まず注目したいのはフォーシーム、いわゆる速球(ストレート)です。ダルビッシュ投手がフォーシームを投げた時、バッターは47スイング中、空振りは21回。これはメジャーの先発投手でトップの空振り率44.7%(25スイング以上)です。
また、2ストライクと追い込んでからのフォーシームでの奪三振率も、メジャートップの32.5%をマーク。今季は平均球速で自己最高の95.9マイル(約154キロ)を記録するなど、増した速球の勢いが活躍している要因のひとつだと思います。
ただ、そのフォーシームの威力をより効果的にしているのが、ダルビッシュ投手の持つ多彩な変化球でしょう。米データサイト『ベースボール・サバント』によると、今季のダルビッシュの球種は大まかに、速球(フォーシーム)、シンカー(ツーシーム)、カットボール、スライダー、カーブ、ナックルカーブ、スプリットの7種類あると紹介していました。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)