菊池雄星、メジャー2年目は逆をいく。アジャストよりも大事なこと

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Taguchi Yukihito

 アジャストするって何だろう。

 日本人がメジャーへ挑戦すると"アジャスト"することが求められる。ボールそのものの違いに、バッターのアプローチの違いに、ピッチャーの投げる球質の違いに、それこそ日米の野球の違いに、「アジャストすべきだ」という声が飛び交う。メジャーで日本の時と同じような結果が出せなければ、その声はひときわ大きくなる。

メジャー1年目の昨年、32試合に登板して6勝11敗だった菊池雄星メジャー1年目の昨年、32試合に登板して6勝11敗だった菊池雄星 今年、メジャー2年目を迎える菊池雄星は昨年、6勝11敗、防御率5.46という結果について「こんなにホームランを打たれたことはなかったし、数字的には悔しい」と振り返った。しかし菊池は1年目、32試合に先発して1年間、ほぼローテーションを守り切った。マリナーズのジェリー・ディポトGMも「好不調の波があるのは1年目にはよくあること、彼には伸びしろがある」とコメントし、菊池には「3年目にエースとして投げてくれ」と伝えている。ならば2年目の菊池は、右肩上がりの結果を示さなければならない。

 となると、菊池に求められるのはチェンジアップなどの緩い球を使った緩急、あるいは真っすぐを動かすツーシーム、ということになる。いわゆる、結果を残すための"アジャスト"である。昨年の結果を物足りないと感じた向きから菊池に投げ掛けられた「アジャストすべきだ」の声は、決して小さくなかったはずだ。この場合の"アジャスト"は、日本で貫いてきた己のスタイルを捨てることを意味している。

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