田中将大がプレーオフで記録的すごさ。「伝家の宝刀」復活で無双状態だ
"現代のビッグゲーム・ピッチャー" 。ニューヨーク・ヤンキース田中将大の、MLBポストシーズンでの実績を振り返れば、その肩書に誰も文句は言わないはずだ。
現地時間10月12日、ヒューストンのミニッツメイド・パークで行なわれたア・リーグ優勝決定シリーズ第1戦で、田中はアストロズ打線を6回まで1安打無失点。ヤンキースは、ア・リーグの本命と目されていたアストロズとのシリーズ初戦を7-0で制し、田中は勝利の最大の立役者となった。
ア・リーグ優勝決定シリーズ第1戦に先発し、勝利投手になった田中「1球1球、どういう投球をしていけばいいかということを、しっかり考えた上で投げていけたことが大きかった。あと、今日の試合で大きかったのは味方の守備ですね」
試合後のそんな言葉どおり、立ち上がりからスライダー、スプリットを制球よく投げ分け、今季のOPS(出塁率+長打率)がメジャー1位だった相手打線にまったくつけ入る隙を与えなかった。
3回裏に安打、5回裏に四球を許したものの、後続打者をあっさりと併殺に切って取る。結局、6イニングを打者18人で片付けた。確かに味方の好守備に支えられたのは事実だが、そのすばらしいディフェンスも、田中のテンポがいいピッチングに引き出された印象すらあった。
最新の"マスターピース"を加えた、田中のプレーオフの成績は常軌を逸している。過去7戦の防御率1.32は現役全投手の中でトップ(注・7戦以上に登板した選手)で、メジャー史上でも3位。プレーオフでの最初の7先発すべてで2失点以内に抑えたのは、メジャー初だという。
「その数字のことを言われるのもわかるんですけど、喜びに感じるのは、その試合に勝った、自分の持っているものを出し切った、というところだけですかね」
自らのプレーオフでの強さを「スモールサンプル」と一蹴してきた背番号19は、この日も歴史的評価に関する話には消極的だった。しかし、本人が何と言おうと、ニューヨーカーは黙ってはいないだろう。10年ぶりの世界一に向けてひた走るヤンキースの中で、新たな"ミスター・オクトーバー"が重要な役割を果たしていることは、もう誰も否定できない事実だからだ。
プレーオフに入って以降は完璧に近い投球を続ける田中だが、ここに辿り着くまでのレギュラーシーズンは順風満帆ではなかった。シーズン中の防御率4.45は自己ワースト2位。とくに7月25日のレッドソックス戦では12失点と、屈辱的な形で痛打されたこともあった。
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