大谷翔平の課題は腰にあり。
名コーチが送る対左投手攻略の意外な助言 (2ページ目)
ちなみに、この"腰の開き"というのは、毎日のようにバットを振っていれば誰にだって生じる、いわば"狂い"のようなもので、大谷だけのことではない。ただ、修正には時間がかかる。自分で理解して直そうとしても、なかなか元のスイングに戻らない。なかには1カ月ぐらいかかってしまう選手もいるほどだ。
ところが8月になると、大谷の腰の開きは影を潜めた。8月4日のインディアンス戦で2打席連続ホームランを打ったときのフォームは、腰が開かず、しっかり力を蓄えてスイングする本来の大谷に戻っていた。不振から復調までわずか10日程度。それも勝手知ったる日本人投手が相手ではなく、まだ初対戦も多いメジャーの投手である。この対応能力の高さと早さに、驚きを隠せなかった。
復調のきっかけとなったのは、8月1日のレイズ戦の第5打席ではないかと思っている。それまで4打席凡退(2三振)とまったくだったが、最終の5打席目でセンター前ヒットを放った。この打席、腰が開かず、きれいなスイングでボールを捉えていた。あくまで私の想像だが、この打席で感覚を呼び戻せたのではないだろうか。
打者というのは、どれだけ頭で考えてバットを振っても、適切なスイングができるとは限らない。打席で失った感覚は、打席で取り戻すしかないのだ。あのセンター前ヒットというのは、まさしく感覚を取り戻したバッティングに映った。
いずれにせよ、こんなに早く復調するとは思っていなかった。大谷のセンスのよさを、あらためて認識させられた。
とはいえ、まだまだ課題も残る。言うまでもなく、左投手に対する成績の悪さだ。
今シーズンの大谷の成績を見ると、右投手に対しては3割を超す数字を残しているが、左投手に対しては打率1割台と極端に成績が悪い。ここまで15本のホームランを放っているが、左投手からは1本も打っていない。左投手が先発のときはスタメンを外れることも増えた。もちろん、一塁を守るアルバート・プホルス(現在は故障により離脱中)をDHで使うといった戦略的な理由もあるだろうが、左投手を打てないことは明らかだ。
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