マック鈴木が結城海斗に伝授。マイナーからメジャーに這い上がる術 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 結城くんはまだ若いですし、「方向性を見誤るな」というのは難しい。そこで大事なのがエージェントです。今はスポーツジムを運営しているところもあるし、オフシーズンになると「こういう選手と、こういう練習したらどうか」など、いくつかプランを提案してくれるエージェントがあります。そういうところと契約できればいいと思いますね。

 僕はアメリカに行った当時、オフの練習は藤井寺球場でしたから(笑)。自宅のある須磨から2時間かけて藤井寺に行って、1時間半トレーニングして、また2時間かけて須磨に戻る......。

 トレーニングの考え方が変わったのは、ロイヤルズに移籍してからです。トレーナーやコンディショニングコーチの権限が強く、すべて組織化されていたんです。そこで情報を叩き込まれ、2000年にローテーション投手として1シーズン投げることができました。

 ちなみにアメリカでは、監督やコーチは細かいことを言いません。「去年は180イニング投げて、防御率はこうで、四球がちょっと多かったな。今年は球数と四球を減らしていこう」というような感じです。要は、自分でどれだけ考えられるかということです。

 マイナーでも年間142試合、中4日、もしくは中5日のローテーションで回れば、年間180イニングは投げます。それだけ投げれば、何かしら勉強できるはずですし、マイナーとはそういう場所なんです。

 それにアメリカには「ピッチャーは打たれるのが仕事だから」とアドバイスしてくれる方がたくさんいます。「打たせて、味方にアウトを取ってもらえ」と。実際、メジャーではどんなにすごいピッチャーだって打たれます。

 マイナーにいるとき、「なんでオレのボールが打たれるんやろう」と思ったことがありました。そのとき、調整のためにマイナーに来ていたメジャーの投手のピッチングを見て、「こういうことなんや」と思い知らされたんです。球速は僕より遅いのに、簡単に3アウトを取るんです。要するに、コントロールとテンポが素晴らしく、無理に三振を取りにいこうとしない。

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