最底辺よりも下。「プロ野球難民」が
集うペコス・リーグって何だ? (5ページ目)
フィールドでは、その間も選手たちが懸命にプレーしている。試合は、先発投手が降板したあと、このレベルにありがちな荒れたものとなった。それでも観客は最後まで選手を応援している。
「私は、この雰囲気が好きなんだ。だって、試合中に選手と気軽に話ができるなんて、メジャーリーグではなかなかできないだろう?」
この日、スタンドではなくブルペン近くで金網越しにリリーフ投手陣と談笑していたひとりの老人は、そう語った。数人の選手のホームステイを引き受けているこの老人は、ホームチームであるパップフィッシュが逆転負けを喫したにもかかわらず、それを気にする風でもなく、淡々と試合を眺めていた。
普段はカレッジのコーチをしながら、夏休みにニューメキシコに帰ってくるという監督の話によれば、このリーグからメジャー球団と契約にこぎつけるのは、シーズンにひとりいるかいないか。しかも契約した選手も、結局は無名のマイナーリーガーとして選手生活を終えることがほとんどだという。
まさに底辺の独立リーグといっていいペコス・リーグだが、今シーズンはカリフォルニアへ拡大策をとり、6チームをロサンゼルス周辺に置いている。
そのうちのひとつ、ニューメキシコから移転したトレインロバーズが新たに本拠地を置いたのは、あの野茂英雄がマイナーで"アメリカ初登板"を果たしたベーカーフィールドである。老朽化の激しいこの町の球場を嫌い、メジャー傘下のマイナーチームが撤退したあと、リーグ拡張を狙ったペスコ・リーグが手を挙げたのだ。
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