負け数が先行でも、上位球団が
ダルビッシュを緊急補強したがるわけ
2017年のメジャーリーグはシーズン後半戦へと突入しました。地区優勝争いが激化するに伴い、プレーオフ進出を視野に入れた球団は新たな戦力を補強すべく、7月31日のトレード期限に向けて水面下で交渉を進めている時期でしょう。
トレードの噂が絶えないレンジャーズのダルビッシュ有 シーズン前半戦を振り返ると、日本人メジャーリーガーの活躍は例年と比べ、日本のメディアで大きく話題になることが少なかったように感じます。ただ、日本人メジャーリーガーの評価が揃って悪いわけではありません。
まず、現地で変わらず高評価を得ているのは、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有投手です。今年は4度目のオールスターに選出されたように、その実力の高さには他球団も一目置いているのは間違いありません。シーズン前半戦は6勝8敗と負け越してしまいましたが、防御率3.49はア・リーグ9位。投球回数5位(118イニング3分の2)、そして奪三振数3位(125個)と、いずれも上位の成績でシーズンを折り返しています。
なかでも特筆すべきは、WARの数値の高さでしょう。WARとはセイバーメトリクスによる選手の総合評価指標で、各ポジションの平均選手と比べてその選手がどのくらいチームの勝利数を上積みしたかを示す値です。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)