投げるだけじゃない。メジャーが評価する
前田健太の「多彩なウリ」
現地1月7日、ロサンゼルス・ドジャースが広島の前田健太投手と8年契約を結んだと発表しました。契約内容は年俸300万ドル(約3億6000万円)で、出来高によって8年総額・最大1億620万ドル(約127億4000万円)に達すると報じられています。背番号は「18番」。長年の夢だったメジャーリーグのマウンドに、ドジャースのユニフォームを着た前田投手がついに立ちます。
ロサンゼルス・ドジャースの一員となった前田健太 ファンとして気になるのは、「前田投手がどのくらいメジャーで活躍できるか?」に尽きるでしょう。「ダルビッシュ有投手のような剛速球を持っているわけではない」「田中将大投手のような決め球・スプリットがあるわけではない」「ふたりに比べて身体のサイズが小さい」。メジャー挑戦を表明した当初、前田投手を低く評価する関係者の声は少なくありませんでした。
しかし、前田投手はメジャーの屈強なバッターに対し、負けない武器を数多く持っています。まず特筆すべきは、「抜群のコントロール」です。広島に在籍した8年間で、1試合に与えたフォアボールの数は平均1.90。9イニングを投げて2個以下の数値です。メジャー関係者も高く評価するように、コントロールのよさは前田投手にとって一番のウリだと思います。
次に注目すべき点は、メジャーのなかでも平均レベル以上の球種を3つ持っていることでしょう。メジャーでは平均レベル以上の球種を3種類、コントロールよく投げることができればゲームを支配できると言われています。前田投手の3つの球種とは、ツーシームを含めた速球、スライダー、そしてチェンジアップです。これらの球種はメジャーのスカウティングレポートでも高評価を得ています。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)