防御率3点台半ば。それでも田中将大を評価すべき理由 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 しかも田中投手は今シーズン、右ひじの問題を抱えていました。昨シーズン半ばの7月、右ひじじん帯の部分断裂が判明。しかしながら、田中投手は手術を回避する選択をしました。その代わり、ひじの負担を少しでも軽くするため、新しい投球スタイルに取り組み、今シーズンを迎えることになったのです。

 ところが4月28日、田中投手は右手首の炎症と右前腕部の張りによって、故障者リスト入りとなりました。このニュースが報じられたときは、誰もが右ひじの故障が再発したのかと不安になったものです。結果的にひじの箇所は問題がなく、今のところ再発もしていません。ただ、その不安を抱えてのシーズンであることは間違いないでしょう。

 さらに田中投手にとって厳しさが増したのは、名門ヤンキースのエースとしての立場でしょう。それまでは絶対的なエースとしてCC・サバシアが君臨し、ベテランの黒田博樹投手もチームメイトでした。しかし昨年オフ、黒田投手は広島へと帰り、サバシアはケガ続きで精彩を欠いています。

 その結果、開幕投手はメジャー2年目の田中投手に託されることになりました。新しい投球スタイルを模索している最中であろうとも、ファンは田中投手に「エースとしての役割」を求めます。ニューヨークという街のプレッシャーはすさまじく、メジャーでもっとも実力を発揮するのが難しいと言われています。そんなさまざまな環境の変化のなか、田中投手はメジャー2年目をスタートさせました。

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