MLBオールスター開幕。ピート・ローズの伝説再び? (5ページ目)
前回のシンシナティでのオールスター開催は27年前の1988年で、さらにその前は1970年。その当時はレッズの黄金時代で、「ビッグレッドマシン」の愛称で全米に旋風を巻き起こしていました。その中心人物といえば、ピート・ローズ。1970年のオールスターは、球史に残る出来事がありました。
会場となったのは、その年の6月にオープンしたばかりのリバーフロント・スタジアム。4−4で迎えた延長12回裏、ローズはキャッチャーに猛然と体当たりして、見事にサヨナラのホームを踏んだのです。ただ、体当たりをされた相手キャッチャーは鎖骨を折り、残りシーズンを棒に振ることになりました。その結果、ローズは全米中から「オールスターであんな激しいプレーはするな」と大きな非難を受けたのです。しかしローズは、「たとえオールスターであっても、全力でプレーすることが自分のモットー」と反論し、自分の意思を貫きました。
シンシナティで行なわれる今年のオールスターの出場メンバーには、そのローズの精神が宿っていると思います。若さにあふれ、エネルギッシュなプレーを魅せるエキサイティングな選手ばかりです。豪快なバッティングや華麗な守備が魅力の選手だけでなく、昨年ア・リーグ盗塁王のホセ・アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ)なども出場するので、「走・攻・守」どれも1級品のプレーを披露してくれるでしょう。ピート・ローズのような「全力プレー」を、きっとシンシナティの地で見せてくれるに違いありません。待ちに待った夢の競演を、ぜひ堪能してください。
※数字は7月13日現在
著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)
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