イチローは残留か移籍か。マーリンズに迫るタイムリミット
現地6月27日、マイアミ・マーリンズの主砲ジャンカルロ・スタントンの骨折が判明し、4~6週間の戦線離脱となりました。「第4の外野手」として今オフに加入したイチロー選手にとって、今回の事態は出場機会の増加につながると言われています。また、6月中旬にはマイアミの地元紙も、「マーリンズがイチロー選手との契約延長を検討している」と報じています。戦力としてはもちろんのこと、若手の見本として好影響を与えていることが評価されたとのことでした。これらの報道から日本では、「イチロー選手はマーリンズから放出されることはない」という見方が強まっています。
今オフに「第4の外野手」としてマーリンズに移籍してきたイチロー ただ、それらの報道を鵜呑みにするのは、早計だと思います。なぜならば、メジャーリーグではたった数日で方針をガラッと変更するケースが多々あるからです。たしかにマーリンズにとって、イチロー選手の存在は大きいでしょう。第4の外野手としての活躍ぶりだけでなく、日本企業が本拠地球場に看板広告を出すようになったり、日本のテレビ局が中継することで知名度が飛躍的に伸びたりと、ビジネス面での貢献度も計り知れないからです。
しかしながら、マーリンズの成績は現在、35勝48敗(勝率.422)のナ・リーグ東地区4位。首位のワシントン・ナショナルズに11ゲーム差もつけられている状態です。開幕前の戦力評価では、「若手の成長次第で地区優勝を狙えるかも」と予想されていました。よって、イチロー選手のようなベテランは、地区優勝するために必要な存在とされていたのです。ところが、地区優勝が絶望的となり、このままマーリンズが低迷を続ければ、チーム方針を大きく変更する可能性も十分に考えられます。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)