自宅でバスケ? メジャーリーガーの最新自主トレ事情

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 2月中旬から下旬にかけて、いよいよメジャーリーグのキャンプがスタートします。このオフの期間、選手たちはそれぞれ独自のメニューで自主トレに励んでいることでしょう。40年ほど前まで、メジャーリーガーはほとんど自主トレを行なうことなく、キャンプに臨んでいました。というのも当時、メジャーリーガーの給料は安く、オフの期間はアルバイトをして生計を立てていたケースが多かったからです。しかし現在、選手たちは平均約399万ドル(約4億6700万円)もらっているので、オフに働く必要はなく、身体のメンテナンスやコンディション作りにたっぷりと時間をかけられています。

テキサス州アーリントンで自主トレを行なうダルビッシュ有テキサス州アーリントンで自主トレを行なうダルビッシュ有 また、オフのトレーニング内容も、この数十年で変化しました。かつては、様々なスポーツを興じながら、身体を動かしていました。たとえば、メジャー歴代1位の2632試合連続出場記録を樹立した「鉄人」ことカル・リプケン・ジュニア(1981年~2001年/ボルチモア・オリオールズ)は、自宅の裏庭にバスケットボールのコートを作り、そこで親しいチームメイトとトレーニングしていたと言われています。また、ウィンタースポーツやアメリカンフットボールに興じながら自主トレするメジャーリーガーもいました。

 ただ、近年はケガのリスクを心配する球団が増えたため、そのような危険なスポーツを控えるように通告するケースが増えました。契約する際の書類にも、そういった活動を制限する内容を加えていることが多々あります。これだけ選手の年俸が高騰した現在、球団にとって最も恐れているのがケガですから。よって、昔のように変わったトレーニングをしているという話題は耳にしなくなりました。

 ただ、今オフに自主トレで話題となった選手もいます。昨年、薬物規定違反によって1年間の出場停止処分を受け、今季ようやくメジャーの舞台に復帰するニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲスです。オフの期間、A・ロッドは自宅のあるフロリダ州マイアミで、週に5日間~6日間、1日平均5時間~6時間ぐらいをトレーニングに費やし、コンディション作りに励んでいると報じられています。その内容は、基礎トレーニングだけでなく、地元大学や独立リーグの選手たちの協力を得て、バッティング練習や守備練習など、実戦的なメニューも取り入れているとのことです。

 ヤンキースの首脳陣は今季、A・ロッドを本職の三塁ではなく、主に指名打者で起用すると明言しています。また、マット・クロースというトレーニングコーチを派遣し、A・ロッドのコンディションをチェックしているそうです。そのような状況ながら、A・ロッドは三塁の守備練習を欠かさず積み重ね、体重も最後にプレイした2013年より7ポンド(約3.2キロ)減量しているとのこと。

1 / 3

著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る