2014.07.10

田中最大のライバル。全米を驚かせたもうひとりの新人

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 7月に入り、早くもシーズンの前半が終了しようとしています。2014年シーズンの前半戦で最大の驚きと言えば、間違いなく田中将大投手(ニューヨーク・ヤンキース)の活躍ぶりでしょう。7月7日現在、リーグトップの12勝(3敗)をマークし、防御率2.27はリーグ2位、130奪三振は同6位と、主要部門すべてで上位に名を連ねています。ただ、全米を驚かせた選手は、田中投手だけではありません。そこで今回は、折り返し地点となるオールスターゲームを迎える前に、2014年シーズン前半を沸かせたバッターとピッチャーをピックアップしたいと思います。

ホームランを量産しているホワイトソックスのホセ・アブレイユ まず、初めに紹介したいバッターは、ヒューストン・アストロズに所属しているホセ・アルトゥーベです。ベネズエラ出身で、2012年のオールスターにも選ばれたことのある24歳の二塁手ですが、当時はそれほど注目される存在ではありませんでした。それが今年、突如ブレイクを果たして全米中に名を知らしめたのです。

 今シーズン開幕当初、アルトゥーベには別の理由で注目が集まっていました。彼の身長は、わずか5フィート5インチ......、実は約165センチしかないのです。この数値は、開幕時にメジャー登録された全選手の中で最も低い身長です。そんなにも小柄な選手がメジャーの4番を務めたということで、大きな話題となりました。アルトゥーベは決してパワーヒッターではありません。勝負強いバッティングが評価されて4番に抜擢されたのです。しかしその後、ジョージ・スプリンガーやジョン・シングルトンといったルーキーが台頭してきたので、アルトゥーベは本来の1番バッターに戻りました。

 すると、そこからアルトゥーベは驚異的なペースでヒットを量産し始めたのです。6月の成績は、なんと打率.411。1ヶ月間で39安打を放つ一方、空振りはわずか18回だけという、素晴らしい内容でした。さらに6月26日から29日にかけて、1917年のレイ・チャップマン(当時クリーブランド・インディアンス)以来、97年ぶりとなる史上3人目の「4試合連続マルチ盗塁」をマーク。打撃面だけでなく、走塁面でもメジャーファンを大いに驚かせてくれました。

 現在、アルトゥーベはメジャー最多となる124安打を打ち、打率(.338)、盗塁(39個)はともにア・リーグトップの数字です。このまま「安打」「打率」「盗塁」の3部門をリーグ1位でオールスターに出場すると、2003年のイチロー(当時シアトル・マリナーズ)選手以来の出来事となります。スター不在のアストロズにとって、アルトゥーベの大ブレイクは前半戦最大のビッグニュースでしょう。