2014.03.03

田中将大がメジャー初登板で払拭した「仙台での不安」

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 ついにベールを脱いだ。ヤンキースの田中将大が、3月1日(現地時間)、フロリダ州タンパにあるジョージ・M・スタインブレナーフィールドでナ・リーグ東地区のフィラデルフィア・フィリーズとのオープン戦で実戦初登板を果たした。

 エースのC.C.サバシア、黒田博樹に続き、3番手としてマウンドに上がった。ヤンキースと7年総額1億5500万ドル(約161億円)の契約で合意した右腕に注がれたのは優勝請負人としての期待と、本当に額面通りの投球ができるのかどうかという疑問だった。フロリダの強い日差しと好奇の視線が背番号19に集まった。

3月1日(現地時間)のフィリーズとのオープン戦で2回を無失点に抑えた田中将大。

 5回表、一塁側の奥に位置するブルペンから、田中がマウンドへ向かう。名前がコールされると大歓声が巻き起こった。

「もちろん、聞こえていましたし、うれしかったです。でも、この先、これがブーイングに変わらないようにしっかりと投げないといけないなと思いました」

 楽天イーグルス時代の本拠地でも流れたファンキーモンキーベイビーズの名曲『あとひとつ』のメロディーも田中の初登板を後押し。心地よい緊張感の中、投球が始まった。

 初球は93マイル(約150キロ)のストレートだった。フィリーズの6番打者、右打ちのダリン・ラフに対しての外角低め。バットは空を切った。ラフに対しては追い込んでから「自分のコントロールミスだった」とセンター前へヒットを許したが、下位打線に対しては付け入る隙を与えなかった。1イニング目を無失点。そして圧巻だったのは2イニング目の6回だった。

 大歓声は、次第にどよめきに変わる。これが意味するところは、田中はやはりただ者ではないということなのだろう。先頭バッターのベン・リビアを90マイル中盤台のストレート系のボールで追い込むと、鋭く落ちる87マイル(約140キロ)のスプリットで空振り三振に打ち取った。ストレートの軌道から"ストン"と消えた。リビアは「変化球の動きが良かった。最後のスプリットは完璧なところに落ちてきた」と目を大きく見開き、驚いていた。ニューヨークのメディアも「これが噂のタナカのスプリットか」と驚嘆し、2回無失点3奪三振という好投で終えた初登板を大々的に報じた。