進化し続ける肉体と野球脳。3年目のダルビッシュ有が凄い!

  • 佐藤直子●文 text by Sato Naoko
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

「成長し続けていきたい」という言葉をよく聞くが、まさに「言うは易し、行なうは難し」。立ち止まらずに成長を続けることは、想像以上に難しい。だが、メジャー移籍後のダルビッシュ有(レンジャーズ)は、その過程で多少のアップダウンはありながらも、これまで2年間、間違いなく成長し続けている。

昨シーズン、ア・リーグの奪三振王に輝いたダルビッシュ有。昨シーズン、ア・リーグの奪三振王に輝いたダルビッシュ有。

 メジャー1年目の2012年には16勝(9敗)をマーク。新人王のタイトルこそ、いまや球界屈指のセンターとなったマイク・トラウト(エンゼルス)に譲ったが、レンジャーズ先発陣の中ではマット・ハリソンの18勝に次ぐ活躍で、その高い実力を証明してみせた。

 2年目の2013年は、ご存じの通り、投手が受ける最大の栄誉とされるサイ・ヤング賞レースで2位、そして奪三振王(277奪三振)というタイトルを手に入れた。具体的な数字を比較してみても、2年目の成長は明らかだ。勝ち星こそ16勝から13勝と減っているが、試合の勝ち負けはチームとしての結果。先発投手の貢献度は別の数字に表れる。

 例えば、防御率は3.90から2.83へ大幅ダウン。9回あたりに対戦相手に与える点数が1.07点減っているということは、その点数分は打線に対する負担を減らしていることになる。投球回数は191.1回から209.2回に上昇し、WHIP(1イニングあたりの被安打数と与四球数の合計)は1.280から1.073へと減少した。つまり、より長いイニングを投げ、イニングごとのパフォーマンスの質も高めていった。

 そして、迎えるメジャー3年目の2014年。すでにメジャートップクラスの活躍を披露しているものの、もちろん周囲はさらなる成長と進化を期待する。果たして、ダルビッシュはその期待に応えることができるのか。答えは「イエス」だ。投手として、完璧に近いパフォーマンスを追い求め、完璧に近づくための努力をたゆまず続ける。195センチ、100キロの体の中に潜む可能性が最大限に発揮されることを誰よりも期待しているのは、他でもないダルビッシュ自身なのだ。

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