A・ロッド出場停止で田中将大のヤンキース入りが加速!?

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 滞在わずか40時間。米国西時間1月8日午前9時にロサンゼルス国際空港に降り立った田中将大は、10日正午には日本への帰国の途についた。

メディカルチェックも終了し、本格的な交渉が始まる田中将大。メディカルチェックも終了し、本格的な交渉が始まる田中将大。

 40時間の弾丸ツアー。その第一の目的は身体検査だった。6年総額100億円以上の契約は間違いないと言われている田中だが、25歳で1315回を投げた事実は、MLBの常識には当てはまらない。加えて、昨年の日本シリーズ第6戦で160球を投げ切った翌日に救援登板したことは、米国内でも「CRAZY」と報道された。MLB各球団にとって、田中はどうしても欲しい選手だ。だが、その前に「肩やひじに異常はないのか」と疑心暗鬼になるのは当然だった。

 昨年12月26日(現地時間)の交渉解禁とともに代理人のケーシー・クロース氏の元へ「獲得の意思がある」とチェックインを済ませたのは10球団以上と言われてきたが、その際に各球団が条件提示の前に身体検査の結果を求めたことは容易に推測できる。

 だが、その危惧も今回の検査で払拭され、身体検査後のわずか24時間で田中との面談を済ませた球団は、ニューヨーク・ヤンキース、ロサンゼルス・ドジャース、アリゾナ・ダイヤモンドバックス、シカゴ・カブス、シカゴ・ホワイトソックスなど8球団と言われている。

 さて、先発投手のFA市場において、ナンバーワンの評価を得ている田中の去就が決定しないがために、いまだに通算105勝のアービン・サンタナ(31歳)や67勝のマット・ガーザ(30歳)らのFA投手の行き先が決まっていない。すべてはポスティング・システムのゴタゴタが起きた影響で、本来ならば12月には決まっていたはずの先発投手たちの契約が、2月のキャンプ直前までずれ込んでしまうことになった。だがその一方で、新ポスティング・システム締結の遅れを喜んでいた球団があった。それがヤンキースだ。

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