ダルビッシュ、過去の200奪三振投手とココが違う (3ページ目)
通常、奪三振タイプのピッチャーは、「1イニング・1奪三振」の割合と言われています。したがって、投球回数と奪三振数がほぼ同じなのが、豪腕ピッチャーの目安なのです。現在、両リーグで9イニング平均9奪三振以上の投手は15人。ダルビッシュ投手の12.12は断トツの1位です。2位がオールスターゲームで先発投手を務めたマット・ハービー(ニューヨーク・メッツ)の10.03ですから、いかにダルビッシュ投手の数字がすごいか分かるでしょう。
奪三振率12点台というのは、本来、リーグを代表する快速リリーフ投手が記録するような値です。しかし、先発投手は長いイニングを任されるだけに、そんなに多く三振ばかり狙えません。過去の記録を紐解くと、現在のダルビッシュ投手の奪三振率は、歴代7位タイに相当します。
【シーズン奪三振率・歴代トップ10】
1位 ランディ・ジョンソン 13.41 (372奪三振/2001年/ダイヤモンドバックス)
2位 ペドロ・マルティネス 13.20 (313奪三振/1999年/レッドソックス)
3位 ケリー・ウッド 12.58 (233奪三振/1998年/シカゴ・カブス)
4位 ランディ・ジョンソン 12.56 (347奪三振/2000年/ダイヤモンドバックス)
5位 ランディ・ジョンソン 12.35 (294奪三振/1995年/マリナーズ)
6位 ランディ・ジョンソン 12.30 (291奪三振/1997年/マリナーズ)
7位 ランディ・ジョンソン 12.12 (329奪三振/1998年/マリナーズ→ヒューストン・アストロズ)
7位 ダルビッシュ有 12.12 (207奪三振/2013年/レンジャーズ)
9位 ランディ・ジョンソン 12.06 (364奪三振/1999年/ダイヤモンドバックス)
10位 ペドロ・マルティネス 11.78 (284奪三振/2000年/レッドソックス)
このランキングを見ても分かるように、今やダルビッシュ投手はメジャーの名だたる超一流ピッチャーの仲間入りを果たしたと言えるでしょう。はたして今シーズン、最終的にどれだけ三振を奪うのでしょうか。ますます加速していくダルビッシュ投手の潜在能力は、計り知れません。
著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)
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