メジャー2年目の飛躍。岩隈久志の「変えない」凄さ
防御率1点台をキープしている岩隈久志 メジャー2年目、シアトル・マリナーズの岩隈久志が凄い。現地時間6月13日現在、防御率1.79(ア・リーグ2位)、被打率1.90(同3位)、被出塁率.223(同1位)と好成績を残しており、WHIP(※)0.82はなんとメジャー30球団でトップ。先発投手として主要な成績はすべてトップランクの数字を残している。
(※)WHIPとは、被安打数と与四球数(与死球数は含まない)を投球回数で割った数値で、1イニングあたり何人の走者を出したかを表わす。一般に先発投手であれば、1.00未満なら球界を代表するエースとされ、1.20未満ならエース級と言われている。
アメリカのメジャーリーグ専門チャンネルであるMLBネットワークは、昨シーズンのオールスター後から今シーズンここまでの間、28試合に登板して防御率2.14を残している岩隈を紹介した。この数字は同期間のメジャー先発投手の中でトップであると伝え、15勝5敗の成績は弱体マリナーズにあって驚異的と評価した。
また、スポーツ専門チャンネルのESPNは、7月16日にニューヨークのシティ・フィールドで行なわれるオールスターゲームの出場メンバーを予想し、早くも岩隈に当確ランプを灯(とも)した。
岩隈はいま、己の持てる力を存分に発揮し、メジャーで輝いているわけだが、ここまで順風満帆に来たわけではない。だからこそ、凄いと思ってしまうのだ。
昨年、岩隈はマリナーズと年俸1億5000万円で1年契約を結んだ。先発投手として期待され、スプリングキャンプでは首脳陣から先発3本柱として期待されていたが、オープン戦で失点が続き、ストレートも130キロ台しか出なかった。普通ならば、先発の座を射止めようと無理をしてでもアピールするものだが、岩隈は決して焦らなかった。
まさに泰然自若。慌てて適応するのではなく、ボール、マウンド、メジャーの環境が自分に馴染んでくるまで待った。これこそ岩隈の凄味なのだ。
「待つなんて、そんな余裕は自分にはなかったと思いますよ(笑)。ただ、あの頃は自分のボールを投げられなかった。だから、少しずつ経験を踏んで上がっていければいいなと......」
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