川﨑宗則の企み。1年目とは違うバットで
レギュラー定着に向けて奮闘を続けている川﨑宗則 トロント・ブルージェイズの川﨑宗則がメジャー昇格を果たしてから、1カ月が経とうとしている。現地5月12日現在、61打数15安打、打率.246。決して高い数字とは言えないが、一方で選んだ四球は9個を数える。ゆえに出塁率は.338をマーク。この数字に関しては、十分に胸を張っていい成績だと思うのだが、本人は「100回あれば100回。1000回あれば1000出塁しないといけない」と、まったく納得していない。
ブルージェイズのジョン・ギボンズ監督が「右投手の時は、(川﨑は)一番打者」と起用法について語ったこともあったが、ここ数試合は右投手が先発の時は下位打線がほとんどで、左投手の時はベンチスタートのことが多い。右投手に対して49打数13安打、打率.265だが、左投手は12打数2安打、打率.167。常時出場するための課題は明確だ。
だが、昇格してからまったく試合に出なかったのは、わずか1試合だけ。マリナーズ時代とは明らかに違う使われ方をしており、首脳陣からの信頼も厚い。
その川﨑は今シーズンを迎えるにあたり、用具を一新した。そこで一番のポイントとなったのがバットだ。昨今、メジャーリーグでもバットを軽量化することでヘッドスピードを速くする打者が増えているが、川﨑は昨シーズンの経験からその考え方とは逆の方法を取った。つまり、バットを重くしたのだ。重さにして約10グラム。理由は、メジャー特有の球質の重いボールに力負けしないためだった。
昨シーズン、招待選手としてシアトル・マリナーズのキャンプに参加した川﨑は、オープン戦で.455の高打率を残し、首位打者を獲得。同時にメジャー昇格も果たした。その結果が評価され、4月は7試合の先発出場機会を得たが、「オープン戦の時とピッチャーのボールが違う」と、打率は.208。彼の特長を考えれば、ゴロを転がせばチャンスが広がるはずだが、ストレート系のボールにポップフライを打ち上げるケースが目立ち、次第に出場機会を失っていった。
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