【WBC】冷淡なアメリカのメディア&ファンと、WBCのこれから (3ページ目)

  • 冷泉彰彦●文 text by Reizei Akihiko
  • photo by Getty Images

 ではアメリカのメディアの反応として、それでは「もうWBCなど止めてしまえ」という反対論が拡大しているのかというと、必ずしもそうではない。今回のカリブ諸国の躍進には、心から賛辞を送っている記事が多いし、準決勝で敗退した日本チームに対しても福岡ラウンド、東京ラウンドで見せた強さについては敬意を払った報道がされている。

 そんな中、メジャーな野球評論家のジェフ・パッサン氏がYahoo!に寄稿したエッセイが興味深かった。パッサン氏は、カリブ諸国や日本の応援団が持ち込んだ「鳴り物入りの応援」が羨ましかったというのである。「国を背負ったチームに対して、その国の出身者が団結して自分の国のカルチャーを持ち込んで試合の最初から最後までパーティーを繰り広げる」のは素晴らしいのだとして、「USAチームとそのファンにはその熱気が欠けていた」と素直に反省をしているのだ。
 
 今回のWBCだが、入場料金は相当に強気に設定されていたが、少なくともマイアミ・ラウンドまでは球場は満杯になった。またアメリカでの放映にあたっては、シスコ、ファイザー、GMなどメジャーなスポンサーが広告を出稿している。日本をはじめとした参加各国からの放映権料を考慮すれば、収支という意味では第一回、第二回と比較しても悪化した印象はない。

「冷淡な地元メディアとファン」を抱えたまま、アメリカのメジャーリーグが主催するという「ねじれた」形で、WBCは今後も続くのかもしれない。

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