2013.03.20

【WBC】冷淡なアメリカのメディア&ファンと、WBCのこれから

  • 冷泉彰彦●文 text by Reizei Akihiko
  • photo by Getty Images

「キャプテン・アメリカ」の称号を与えられるも、負傷のため戦線を離脱したデビッド・ライト 3月9日のフェニックス・ラウンド、負ければ一次予選で敗退という対イタリア戦。5回表に同点から満塁ホームランを打ったアメリカ代表チームのデビッド・ライト選手(ニューヨーク・メッツ)は、翌日になってメディアから「キャプテン・アメリカ」と呼ばれ始めた。

 マイアミ・ラウンドにコマを進める中で好調を維持したライト選手は、12日のプエルトリコ戦でも5打点を上げ、アメリカの野球界では「公式に」この称号をライト選手に与えた格好となった。「顔の見えるリーダー」が活躍することでWBCのチームUSAは人気も上昇すると思われたのだ。

 だが、このストーリーは最悪の結果を迎えることになる。その「キャプテン・アメリカ」は、14日には背中の痛みを訴えてドミニカ戦を欠場、そのまま戦線を離脱してしまったのである。翌日の15日にプエルトリコとの敗者復活戦に敗れたチームUSAはサンフランシスコでの決勝ラウンドに進むこともなく敗退した。

 では、「敗戦のショック」が報道され、「戦犯探し」の結果としてライト選手に批判が集まったのかというと、決してそうではなかった。というのも、この「チームUSA敗退」という「事件」そのものがアメリカでは大きく報道されなかったのだ。

 例えば翌日の3月15日は土曜日で、ニューヨーク・タイムスは「週末版」として紙面が拡大する日に当っていた。その別刷りになった「サタデースポーツ版」だが、トップニュースはカレッジ・バスケットボールの「シラキュース大対ジョージタウン大」で、大きな写真がほぼ一面の半分を埋める扱いだった。別に優勝が決まったわけではないのだが、今シーズンを最後に加盟リーグを移籍するシラキュース大は、「マジソン・スクエア・ガーデン」での最後の公式戦となり、NYの観客へ別れを告げた、その話題がトップだったのだ。