【MLB】藤川球児がカブス入団を決めた最大の理由 (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • アフロ●写真 photo by AFLO

 藤川とカブスの契約は、契約金が100万(約8000万円)ドル、2013年と2014年の年俸が400万ドル(約3億2000万円)。2015年は球団に選択権があり、放棄した場合は50万ドル(約4000万円)が支払われる。これが総額950万ドルの内訳だ。この契約額ならメジャーのリリーフ投手市場ではセットアッパーの評価に過ぎない。だが、出来高が1年につき最大で200万ドル(約1億6000万円)。しかも、2014年に40試合完了を果たせば、自動的に2015年の契約は更新され、年俸600万ドル(約4億8000万円)が保証されることになっている。

 藤川の心を揺さぶったのは、この「試合完了」のオプションだった。藤川は言った。

「メジャーでも難しいポジションであるクローザーを目指したい」

 完了オプションはクローザーへの期待を意味し、活躍次第では3年2000万ドル(約16億円)近い条件になる。この金額はクローザーの評価にもつながり、エンゼルス、ドジャース、ダイヤモンドバックスにはなかったものだ。

 また、カブスの日本人選手を見る眼力には定評がある。現経営陣のセオ・エプスタイン球団社長、ジェド・ホイヤーGMは、2007年のレッドソックス時代に松坂大輔、岡島秀樹をスカウティングした張本人であり、当時の担当スカウトもカブスへと籍を移している。彼らがレッドソックス時代から藤川を調査し、評価してきた事実も、藤川の背中を押したに違いない。

 来年2月に始まるスプリング・トレーニング初日から藤川の新たな勝負が始まる。首脳陣も最初から藤川にクローザーを託すようなことはしないだろうが、藤川が阪神時代にセットアッパーからクローザーへ駆け上がったのと同様の期待をしている。もちろん、その思いは藤川も一緒だ。

 藤川球児とシカゴ・カブス。いいマッチングになったと感じている。

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