【MLB】黒田博樹、年俸1500万ドルの価値とは?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

主将のデレク・ジーター(右)も残留を願うほどの存在となった黒田博樹(左)主将のデレク・ジーター(右)も残留を願うほどの存在となった黒田博樹(左) 先日、マリアノ・リベラやアンディ・ペティットらベテラン選手と契約し、現在もイチロー選手と残留交渉を進めている名門ニューヨーク・ヤンキース。世界一奪還のために欠かせないFA選手の再契約は今オフの重要課題なのですが、その中でも最優先事項として一番に契約したのが、黒田博樹投手です。その契約内容は、1年1500万ドル(約12億3000万円)プラス出来高払い。『年俸1500万ドル』と簡単に思うかもしれませんが、メジャーリーグの歴史を振り返ると、これはすごい金額なのです。

 わずか15年ほど昔のメジャーでは、各球団とも先発投手に対して高い年俸を払っていませんでした。年俸ランキングを見ても、上位は野手ばかりです。なぜかというと、毎試合出場する野手に対し、先発投手は5試合に1度ほど。シーズンを通しても35試合程度しか先発機会がないので、「ファンを球場に呼ぶのは野手」と考えられていたからです。

 実際に1996年の年俸ランキングを見てみると、トップ10に入っていたのは、当時アトランタ・ブレーブスのグレッグ・マダックス、ただひとり。1992年から1995年まで4年連続でサイ・ヤング賞に輝いていたマダックスですら、年俸ランキングで9位だったのです。

 しかし1999年ごろになると、状況が少し変わってきます。キッカケは、1998年から始まったマーク・マグワイア(当時セントルイス・カージナルス)とサミー・ソーサ(当時シカゴ・カブス)による、『世紀のホームランレース』です。ステロイド使用によるホームラン全盛時代に突入すると、各球団ともパワーヒッターに対抗すべく、絶対的なエースが必要だと改めて考えるようになりました。『打高投低』の時代において、超一流ピッチャーには高いお金を払うようになったのです。

 1999年の年俸ランキングでは、上位8人の中に先発投手が4人もランクインしました。4人のランキングと年俸は、このようになっています。

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