【MLB】残留か移籍か。イチローが契約するのはどの球団?
来シーズンもイチローは、ピンストライプのユニフォームを着ているのだろうか ニューヨーク・ヤンキースからFAとなったイチロー選手の去就が注目されています。アメリカの主要メディアも今オフ、早々に『FA選手の実力ランキング』を発表しました。それによると、イチロー選手は165名のFA選手の中で、スポーツ専門局『ESPN』25位、『スポーツ・イラストレイテッド誌』27位、アメリカ4大ネットワークのひとつ『NBCスポーツ』35位、そして『Yahoo!スポーツ』で43位にランキングされています。タンパベイ・レイズのB.J.アップトンや、アトランタ・ブレーブスのマイケル・ボーンといった同じ俊足タイプの外野手と比べると、低い評価ではありました。ただ、このランキングはあくまで選手の将来性や年齢によるものが大きく(アップトン=28歳、ボーン=29歳)、必ずしもイチロー選手の人気がない、買い手がないというわけではありません。
すでに現地11月5日、ヤンキースはFAとなったイチローの去就について公式サイトでコメントを発表しています。「500万ドルから900万ドル(約4億1000万円~7億4000万円)の1年契約をイチローが受け入れてくれれば、残留する可能性は高い。常に勝利を目指すチームの雰囲気も、ニューヨークの街も、イチローは気に入っているようだ」と報じていました。イチロー選手自身もヤンキース残留の意思が強いと一部で言われていますので、その可能性は十分にあるでしょう。
ヤンキースの外野手事情を見てみると、ア・リーグ2位の43本塁打を放ったカーティス・グランダーソンと、2011年の盗塁王に輝きながらケガで2012年シーズンを棒に振ったブレット・ガードナーのふたりは、来シーズンのスタメン最有力候補です。しかし今シーズン、主にライトを守った強打のスイッチヒッター、ニック・スウィッシャーがFAで大型契約を希望しています。よってスウィッシャーが他球団に移籍し、イチロー選手が再契約すれば、来シーズンはレフト=ガードナー、センター=グランダーソン、ライト=イチローという布陣で外野を固めることになるでしょう。
ただ、もしイチロー選手が残留した場合、個人成績に影響を及ぼす可能性があります。今年のプレイオフで骨折したデレク・ジーターが開幕に間に合わなければ1番バッターとして起用されるでしょうが、結果が出なければ早々に8番や9番、もしくはプラトーン要員(相手投手によって起用が使い分けられる立場)に回されるかもしれないからです。巨大戦力を誇り、強力打線をウリにしているヤンキースなら、そのような対応も十分に考えられます。
2012年、イチロー選手はシアトル・マリナーズで打率.261だったのに対し、ヤンキース移籍後は打率.322と、大幅に数字をアップさせました。しかし、ヒットのペースを計算すると、マリナーズで179本ペースだったのが、ヤンキースでは176本ペース。打率は上がったのに、ヒットのペースは下がっているのです。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)