【MLB】なぜ岩隈久志は急に勝ちだしたのか? (3ページ目)
さらに、ホームでの成績にも注目です。ホーム6試合に先発して、防御率は2.52。メジャー30球場で唯一、海抜よりも低い位置にグラウンドがあり、海からの湿った空気によって打球の飛ばないセーフコフィールドは、投手有利な球場と言われています。ホームランの危険性が低いので、岩隈投手もバッターに対して強気に攻めているような印象です。
1個のフライアウトに対して1.46個のゴロアウトを奪っている典型的な『グラウンドボールピッチャー』の岩隈投手は、守備陣との相性もピッタリだと思います。マリナーズの守備陣は今シーズン、メジャー30球団でトップのチーム守備率(.990)を誇り、エラーの数もメジャー最少(50個)です。よって、ゴロを打たせて打ち取るグラウンドボールピッチャーこそ、マリナーズに最も適したタイプだと思います。この相性の良さも、岩隈投手が好調な理由のひとつではないでしょうか。
最近の岩隈投手を見ていると、真っ黒に日焼けし、ヒゲもはやして、非常にたくましい雰囲気を醸しだしています。メジャーリーガーの顔になったと思いました。「コースと高さを間違わなければ、ホームランはない」と語るほど自信に満ち溢れているので、今後ますます、岩隈投手のピッチングが楽しみです。
【岩隈久志・8月の成績】
8月5日(日) vsヤンキース(A) 5回・7安打4失点/敗戦
8月11日(土) vsエンゼルス(A) 7回・6安打3失点/勝利
8月17日(金) vsツインズ(H) 7回・4安打1失点/勝利
8月22日(水) vsインディアンス(H) 5回2/3・6安打1失点/勝敗なし
8月28日(火) vsツインズ(A) 6回・1安打1失点/勝利
合計 5試合3勝1敗(30回2/3・24安打10失点)
※登板日は現地時間。H=ホーム、A=アウェー
著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)
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