2012.04.29

【MLB】松井秀喜にさらなる試練。
メジャーのトレンドとなる『DHローテ制』

  • 水次祥子●文 text by Mizutsugi Shoko
  • photo by Getty Images

所属が決まらないままシーズンを迎えた松井秀喜だったが、レイズとマイナー契約で合意間近だと報じられている アスレチックスからFAとなり移籍先を探していた松井秀喜だったが、開幕から3週間を経過してようやくレイズとの契約が決まりそうだ。メジャー登録の保障がないマイナー契約で、最初はフロリダ州ポートシャーロットにある球団施設で「延長キャンプ」に参加し、それから3Aダーラムに合流するという。メジャーに這い上がるのも、そこから出場機会を勝ち取るのも、すべて自分の実力で勝負していかなければならない厳しい条件での契約となった。

 松井をはじめ、今季は「DHタイプ」の選手にとって、例年になく逆風が吹いた。通算449本塁打のブラディミール・ゲレーロ(前オリオールズ)、通算打率3割9厘のマグリオ・オルドネス(前タイガース)はいまだ契約先が見つからず、通算2723安打をマークするジョニー・デイモン(前レイズ)は、松井が契約した1週間ほど前にインディアンスとやはりマイナー契約を結んだ。なぜ、実績ある彼らと契約するチームがなかなか現れなかったのか。そのひとつの要因として、今季からDHを「ローテーション制」にしたチームが急激に増えたことが挙げられる。

 開幕からここまで、ひとりの選手がすべての試合でDHとして出場したのは、デビッド・オルティス(レッドソックス)とビリー・バトラー(ロイヤルズ)のふたりだけ。その一方で、DHを5人以上で回しているチームはヤンキースなど3球団。3~4人で回しているチームはインディアンスなど6球団もある。つまりDH固定の選手は、もはやほんの一握りにすぎない。

 ローテーション制を採用している球団は、DHを「休養枠」と捉えているところがほとんどで、例えばヤンキースはデレク・ジーターやアレックス・ロドリゲスといった30代後半のベテランだけでなく、ニック・スウィッシャーやロビンソン・カノも休養のためにDHに入ることがある。ジョー・ジラルディ監督は、「その日の選手の状態を見て、誰をDHにするか感覚で決めている。常にフレッシュな状態で出場させるのも、私の大事な仕事」と言う。