【高校野球】「2018年8月12日を一生忘れない」 仙台育英・須江監督が語る、惨敗から始まった日本一への物語 (3ページ目)
埼玉県の人脈をたどり、浦和学院の試合映像を集めることができた。須江監督には、試合前の準備としてあるこだわりがある。
「できれば選手の人柄まで調べたいんです。その選手が究極の場面で入り込めるのかどうか、人間としての根っこの部分を知りたくて」
技術だけでなく、選手の内面まで分析する。分析すればするほど、浦和学院の強さを実感したという。
「ウチより二枚も三枚も四枚も上でした。とくに渡邉くんを打つイメージが湧かなかったですね」
それでも、どうしても勝ちたい事情があった。須江監督は「狼煙(のろし)を上げたかった」と表現する。
「不祥事があって、監督が代わるという悲しい経験をした。誰もが甲子園なんか行けるわけがないと思っているなかで、それでも甲子園出場を決めてくれた。なんとか1勝をして、『この野球部は大丈夫だ』という目に見える成果を出したかったんです。私を受け入れてくれた選手たちに、恩返しをしたい思いもありました」
そして、須江監督は微笑を漏らしながら、こう続けた。
「浅はかでしたけどね」
結果は冒頭のとおり、須江監督は敗戦の弁を語る立場になった。それでも、格上の浦和学院に挑んだ一戦は、確実にのちの全国制覇の礎になっていくのだった。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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