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【高校野球】プロ野球か、それとも寿司職人か...三重・昴学園の145キロ右腕・石川大介が迷いながらも高卒プロを志望する理由 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Takahiro Kikuchi

【高卒でプロを目指すワケ】

 おそらく、大学進学を打ち出せば引く手あまただったはずだ。それでも高卒でプロ志望を表明するのはなぜか。石川に聞くと、こんな答えが返ってきた。

「目標は高ければ高いほどいいと思うからです。今まで高卒でプロに行くことを目指してやってきて、秋から春にかけて球速も上がってきました。春になって、『プロを目指そう』と決めました」

 スケール感より、実績でアピールするタイプなのは間違いない。そのため、夏の結果が進路に大きな影響を及ぼすはずだ。今夏の三重大会では、昴学園は宇治山田商や津田学園など強豪校がひしめく激戦ブロックに組み込まれた。そんな逆境も石川にとっては、自身の価値を高める材料になる。

「先を見ずに目の前の一戦を戦えるので、むしろ厳しいブロックに入ってよかったです。どんな相手でも、自分のやることをしっかりやるだけ。初戦(7月18日の2回戦・宇治山田商)に勝てたら、みんな勢いに乗れると思います」

 両親が営む寿司店には多くの野球ファンが集まり、昴学園の話題で持ちきりだという。公式戦になれば、多くの常連客が石川の応援に足を運ぶそうだ。そんな地元からの声援も、石川の背中を押す原動力になっている。

 寿司の世界のプロとして働く両親をどう思うか。そう聞くと、石川は神妙な表情でこう答えた。

「毎日衛生面にめちゃくちゃ気を遣って、朝早くから夜遅くまで働いて疲れていても、一人ひとりのお客さんに笑顔で接している両親には尊敬しかありません。そのうえ、小さい頃から野球の送り迎えや弁当の用意をしてくれて、そのおかげで自分は野球ができています。中学まではそのありがたみをわかっていなかったんですけど、寮生活をするようになって感謝できるようになりました。この夏に恩返しをしていきたいですね」

 投げる寿司職人・石川大介。この夏は繊細な指使いから放たれるボールで、三重県の強打者たちを料理するつもりだ。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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