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司法試験合格の東大野球部・スタンリー翔唯「文武両道は褒め言葉ではない」日本のトップを目指す男の野望とは? (4ページ目)

  • 門脇 正法●取材・文 text by Masanori Kadowaki

【ひとつの分野で1位になりたい】

ーー東大卒業後は野球とどのように付き合っていきたいと考えていますか?

 僕としては、さらに上のレベルで野球を続ける資格のある成績を六大学で残したいと考えています。現時点では独立リーグかなと。すでに司法試験に合格しているので、みんなが時間を取られて苦労している就活に時間を取られることなく、逆にその時間を自主練に充てて、これ以上伸びないというところまで伸ばしていきたい。

 僕としては野球の能力がこれ以上伸びないと思った時点で野球人生を終えたいと思っています。もしかしたら今年、東大3年が終わった時点でそう思う可能性もなきにしもあらずですし、独立リーグに入ってからかもしれないですけど、そういう基準を僕のなかでは設けています。

ーー野球人生を終えたあとはどのような展望がありますか?

 僕は今、明らかに勉強より苦手な野球に挑戦している人生の「野球編」の真っ最中で、それが終わったら「総理大臣編」に行こうと考えているんです。

 まだ具体的には考えてないですけど、総理大臣に50代でなりたいと思っているんですよ。だから、逆算して考えてみると、一年一年が大事になってくるので、はたして司法修習で1年間を使ってしまうのがベストなのかはわからないです。

 司法試験に受かっていると公設の政策秘書ができるので、そういう道も考えていますし、国会議員の政策秘書になって、そのあとで出馬するなり、いろんな道はある。司法修習に必ず行くかと言われたら、現時点ではわからないところですね。

ーーあらためて、司法試験合格はすごいことですね。

 合格を期限なく一生使えるのは本当にすごいメリットじゃないですか。こういう言い方はあれですけど、「人生最大の保険」って言えるかなと。

ーー最後に、そんなスタンリー選手にとって「文武両道」とは何になりますか?

 僕は文武両道だと言われるのは褒め言葉ではないと思っています。どちらも中途半端だっていうのが文武両道だと思っているんですよ。僕の理想は、大谷翔平さんみたいな、ひとつの分野で1位になること。文武両道は、ふたつの分野で上位10パーセントのような、ひとつの分野でトップになれないから、ふたつを掛け算してトップになろうという発想だと、僕は捉えているんです。

 勉強でも野球でもそうですけど、上位50パーセントから上位10パーセントになるのはけっこう簡単ですが、上位10パーセントから1位になるのはとてつもない努力が必要だと思う。なので、ひとつの分野で1位になることのほうが明らかにすごいことだと僕は思います。

 本当は、大谷さんのように、もっと"いっちゃってる"、何かひとつを極めてみたいとは思っていますが、年齢的なものもあり、僕としてはもうプロ野球選手はあきらめているところはあります。そうしたなかで後悔のない最大限の努力はしたいと思っていますし、総理大臣が日本のトップかどうかは置いておいて、政治家としてはトップなわけなので、いつかはひとつの分野で1位になりたいとの思いは、つねに持っています。

終わり

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<プロフィール>
スタンリー翔唯 すたんりー・かい/2003年1月20日、東京都練馬区生まれ。小学1年から野球を始める。早稲田実業中等部・高等部を卒業後、早稲田大3年の時に東京大文科三類に合格。2025年11月には司法試験に合格している。現在、東大3年。

著者プロフィール

  • 門脇正法

    門脇正法 (かどわき・まさのり)

    マンガ原作者、スポーツライター。1967年、埼玉県生まれ。日本女子体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。アニメ『ドラゴンボールZ』の脚本家である小山高生氏からシナリオを学び、マンガ原作者デビュー。特にスポーツアスリートの実録マンガを得意としており、『世界再戦ー松坂大輔物語ー』(集英社/少年ジャンプ)、『好敵手ー室伏広治物語ー』(同)、『闘球「元」日本代表ー福岡堅樹物語ー』(集英社/ヤングジャンプ)の原作を担当。現在はマンガの原作だけでなく、「少年ジャンプ」のスポーツ記事特集『ジャンスタ』を中心に、『webスポルティーバ』の「文武両道の裏側」など、スポーツライターとしても活躍中。著書に『バクマン。勝利学』『少年ジャンプ勝利学』(ともに集英社インターナショナル)などがある。

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