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【高校野球】「甲子園の熱狂はプロレスと同じ」 神戸国際大付・青木尚龍監督が語る"魔物の正体" (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Shiro Tanigami

 何事にも一途な青木のプロレス愛が伝わってくるエピソードだ。かつてはグラウンドのネット裏にプロレス関連の書籍が整理して並べられ、選手が自由に持ち帰って読めるようになっていた。男を鍛え、勝負の心を磨いてほしい──そんな思いもあったのだろう。私も取材の際、2、3冊を借りて帰ったことがある。

【魔物をつくり出すのは観客の熱】

 グラウンド脇で、野球取材の合間にプロレスの話を聞くようになってから20数年。この日も話題はリングとグラウンドを行き来しながら、やがて「1・4東京ドーム」の話へと戻っていった。

「レスラーやないからわからんけど、あれだけ多くのお客さんが入ったなかで試合をやるっていうのは、まさにレスラー冥利に尽きると思うんです。観客の歓声や思いが選手に伝わって、会場の空気ができあがっていってね。その点は野球も同じで、高校生にとっての甲子園は、まさにそういう場所でしょう」

 神戸国際大付の甲子園出場は、春夏連続出場となった2021年夏以来で、選抜としては6度目となる。前回(2020年)はコロナ禍の影響で選抜大会が中止となり、夏も無観客のなか「甲子園高校野球交流試合」での開催となった。その翌年に行なわれた選抜でもあり、青木の知る甲子園とは空気感が違っていた。

「まだいろんな制限のなか、多くの人が知恵を絞って選抜が開催され、夏も勝って出ることができた。ただ、いつもの甲子園ではなかったですよね。よく『甲子園には魔物がいる』っていうけど、魔物をつくり出すのはお客さんの思いとか、銀傘にこだまする歓声とか......。

 プロレスでも、ワン、ツー、スッ......とカウントが入るなかギリギリで返すと、お客さんが『ウォーッ!』となって、『まだ返すのか、すごいな、いけ!』という空気がどんどん高まる。選手のアドレナリンも出て、試合がどんどんよくなっていくんです。やっぱり観衆の力はすごい。だから今回の甲子園は、いろいろな制限もなくなりましたし、思いきり応援してもらって、あの空気感を選手にも存分に味わってほしいんですよ」

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