サラリーマンとクラブづくりの二刀流で挑む野球への恩返し 鈴木兄弟が生んだグラブブランド『YK BROTHERS』の現在地 (2ページ目)
【最高級の革で唯一無二をつくる】
グラブづくりにも、これまで培ってきた「考える野球」の哲学が凝縮されている。大量生産・大量販売の大手メーカーと同じやり方では勝負になるはずはない。戦略の柱となったのは、品質への徹底的なこだわりだった。
「革の素材にはとことんこだわっています。希少性が非常に高く、日本では入手が困難な最高ランクの素材とされる『ダッチビールキップレザー』(オランダ産の仔牛のレザー)を仕入れられるようになりました。さらに兄弟ふたりの強みは野球界とのつながりが強いこと。いろいろなプレーヤーの意見を聞いて、オリジナルの型をつくって、唯一無二の製品をつくり上げていきました」(裕司さん)
その最高級の革を、姫路の老舗タンナーに製革してもらうことで、極上のフィット感が生まれる。国内屈指の技術を持つ職人たちの手から誕生する「YK BROTHERS」のグラブは、大手と価格競争を挑まずとも、製品の持つ価値で勝負できるという確信を得た。
「どのメーカーがどのぐらいの価格でグラブを出しているというのは徹底的に調べました。同じ価格であれば勝ち目がないことはわかっています。最上級に品質のいい製品を、比較されるであろう他メーカーの最上級ランクの製品よりも安価でお客さまに販売したいという話を常にふたりでしていました」(健介さん)
そしてブランド最大の特長は、徹底したアフターケアと顧客とのコミュニケーションだ。長く酒類メーカーで働く裕司さんは、大手では不可能な「顔が見えるメーカー」を目指し、重視する。店舗こそ持っていないが、軽快なフットワークが多くの顧客の信頼感を生んでいる。
「納品にはすごくこだわっています。なるべくふたりで、小学生であろうが社会人であろうが、可能な限り直接お会いしてお渡したいと考えています。もちろん納品エリアや時間の都合が合わない場合もありますが、そんな場合でも公式のLINEからご連絡くださるお客さまに対しては兄弟のいずれかが丁寧にやりとりをさせていただき、心を込めて納品を進めていきます。
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