【高校野球】投げる姿はまるで斎藤雅樹! 近江の148キロ右腕・上田健介が秘める無限の可能性 (2ページ目)
立ち上がりに先頭打者から2者連続四球を与えるなど、4イニング中3イニングで先頭打者を四球で歩かせた。強いシュート回転のかかったボール球を連発したと思ったら、突如として指にかかった快速球やキレのあるカーブで空振りを奪う。1回に内野ゴロの間に1点を失った以外は、スコアボードに0を並べた。
試合は近江の強打線が火を噴き、9対1で7回コールド。上田は7イニングを投げて、被安打1、失点1で完投。奪三振6、与四死球7という数字が示すとおり、適度な荒れ球が市尼崎打線を苦しめた。試合後、上田は「フォアボールが多くなってしまったんですけど、途中、変化球でストライクが取れるようになってよかった」と振り返っている。
【プロで活躍できる投手になりたい】
目を惹いたのは、やはり指にかかったストレートの球威だった。小森監督は「指にかかった球は質が高いと思います」と評する。
「ポテンシャルはあるんですけど、フィジカル面がまだついてきていないので、バランスが崩れると制球に難が出てしまうんです。でも、体ができてくれば落ち着いてくると思います。肉体的にも人間的にも、まだまだこれからなので」
「人間的にも」という部分に、小森監督は語気を強めたように感じた。話を聞いていても、上田という投手が感覚肌ということは痛切に伝わってくる。
指にかかるボールとかからないボールとでは、どんな違いがあると感じますか? そう尋ねると、上田は首をかしげて「感覚なんで、あんまりわからないです」と答えた。
ただし、何も考えずに投げているわけではない。この日、荒れ球を立て直すために工夫したことを聞くと、上田は真剣な表情で考え込み、言葉を紡いでくれた。
「カーブを多く投げるようにしました。カーブを投げる時のフォームはいいので、カーブをちゃんと投げられていると、ストレートも自然とよくなっていくんです」
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