検索

【高校野球】大谷翔平が伝説になった日に輝いた新星 智辯学園の1年・太田蓮が本気で目指す「二刀流」の道 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

【中学時代に世界一を達成】

 コアな野球ファンのなかには、太田のことを投手として認識する人もいるかもしれない。太田は京都シニアに在籍した中学3年時、侍ジャパンU−15代表に選出され、U−15ワールドカップに出場。おもに投手としてプレーし、チーム最多の3勝をマーク。日本の初優勝に大きく貢献している。

 現在は投手をしていないのか。太田に尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「目指しているのは二刀流です。野手も投手も自信があるので、上では両方やりたいんです。高校に入学した時に腰とヒジをちょっと痛めていたので、いったんは野手に専念していました。今はケガも治ったので、ピッチングも再開しています」

 中学時点で球速は140キロに達しており、高校では139キロが最速だという。太田は当然のように、尊敬する人物として大谷翔平の名前を挙げた。

「大谷さんは人間性がすごいと思います。自分も道にゴミが落ちていたら拾ったり、あいさつを大事にしたりしています」

 この日、大谷が3本塁打と10奪三振をマークしたことを伝えると、意外にも太田は表情を変えることなく、こう答えた。

「やっぱりすごいですけど、大谷さんを超える選手を目指してやっていきたいです」

 憧れるのをやめましょう。そう言ったのは、2年前の大谷だった。太田もその言葉に突き動かされているのかもしれない。

【ライバルは横浜高の川上慧】

 太田は中学3年時に侍ジャパンのユニホームに袖を通し、日本から遠く離れたコロンビアで9試合を戦った。慣れない異国での生活に、体重は3キロも減ったという。

 この経験は今も生きているのではないか。そう聞くと、太田は深くうなずいた。

「ほかの選手とコミュニケーションを取れて、技術を見て、自分ももっと頑張ろうと思えました。得るものはすごく大きかったです」

 U−15代表のチームメイトのなかで、ライバル視している存在を聞くと、太田は川上慧(横浜)の名前を挙げた。

「バッティングの技術が高くて、ミート力がすごいと感じました。でも、彼を一段、二段と超える選手になりたいです」

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る