【夏の甲子園2025】「プロを選んでほしかった」とスカウトが惜しんだ逸材たち なぜ彼らはプロ志望届を出さないのか (2ページ目)
日本を代表する打者になるには、プロのほうが近道なのではないか。そう尋ねると、田西はこう答えた。
「目標はプロですけど、そこで活躍するために『本物』になってから勝負したいんです。今は全部の部分で力が足りていません。とくに大一番で活躍できるような、精神力をもっと高めていきたいです」
天理の好打者・赤埴幸輝 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る
【この体ではまだプロで活躍できない】
赤埴幸輝(あかはに・こうき/天理)も、遊撃手の好素材としてプロスカウトがマークする存在だった。躍動感のあるフィールディングはグラウンドで映え、自分の間合いでとらえられる打撃も光る。
しかし、赤埴は春先の時点で、誘いを受けた強豪社会人への入社を決めている。なぜ、社会人だったのか。赤埴はこんな事情を明かした。
「プロの世界に行けたとしても、この体ではまだ活躍できないと判断しました」
赤埴の身長は181センチあるが、体重は74キロに留まっている。いかにも細身に見えるシルエットだ。この冬場にフィジカル強化に励んだが、思うように体重が増えなかったという。
「この体では、プロで活躍できるまでに何年もかかってしまうと思いました。それなら社会人に行かせてもらって、もっと体をゴツくして、プロ1年目から活躍できる力をつけたいなと。技術的にも、まだまだ下手くそなので」
天理の藤原忠理監督は、高校指導者の立場から赤埴の進路決定について語った。
「赤埴は身体能力が高く、野球選手としていいものを持っています。勉強との両立もできる子ですが、本人が野球に集中したいという希望が強く、社会人という決断になりました。プロ側には申し訳ないのですが、社会勉強をしっかりしたうえで、力があればプロを目指せばいいというのが私の考えです。そのほうが、プロに行けた時も、社会人としてしっかりとした生活ができると思うんです」
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