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【高校野球】九州国際大付にとんでもない逸材 「背番号10」がシートノックで披露した異次元の強肩に球場騒然! (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 しかし、いざプレーのコールがかかると、山本は苦戦を強いられる。先頭打者には145キロのストレートを中前に弾き返され、次打者には145キロのストレートを体にぶつけてしまう。3人目の打者には3球連続でボール球が続いた。

 このままズルズルいってしまうのか。そう思われた直後、山本が覚醒する。ストライクゾーンに向かって、勢いのあるストレートを連投。2者連続三振を奪ったのだ。最後に空振りを奪った1球は、最速146キロを計測。その数字以上に威力を感じるボールだった。マウンドで「うぉりゃぁ〜!」と雄叫びをあげる山本は、乗りに乗っていた。

 だが、ここからの山本はつかみどころがなかった。暴投、四球で満塁のピンチを招き、ベンチからは伝令が走る。押し出し四球が怖い場面だったが、山本は112キロのカーブで簡単に二塁ゴロを打たせ、わずか1球で窮地を乗り切った。

 その後もピンチを招くものの、山本は3イニングを無失点に抑えて試合を締めくくった。投球成績は投球回3、被安打3、奪三振4、与四死球2、失点0である。

 ちなみに、9回表には山本の打席も回ってきた。コンタクト重視のノーステップ打法で、ライトフライ。守備、投球ほどのインパクトは残せなかった。

【今夏は投手に専念】

 試合後、山本のもとを訪ねてみた。マウンドでの熱い姿とは別人のように、涼しげな様子で受け答えをしてくれた。

── 試合前のシートノックには驚きました。

「ありがとうございます。投げることには自信があります」

── あれだけのボールを投げておくことで、相手チームを威圧する効果もあるのでは?

「はい。自分がもし、守備固めで出た時にはランナーをストップさせたいので。圧を常にかけておきたいと思っています」

── 今夏は投手メインなのですか?

「投手も野手もできますけど、今のところ投手に専念しています」

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