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語学も実績もゼロから始まった井上心太郎のアメリカ挑戦記 次なる目標はNPBドラフトで指名されること (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 身長170センチの井上は、アメリカの大学生のなかでも極めて小さい部類に入る。だが、井上は「コンプレックスと思ったことはないです」と断言する。

「体が小さいことを嘆いたところで、身長は変わらないので。むしろ、自分からギャグにして、チームメイトに笑ってもらっています」

【MLBドラフトでは指名されず】

 なお、同じくアメリカの大学球界で戦う佐々木とは、サマーリーグの試合時に挨拶を交わしたという。

「めちゃくちゃいい子ですよね。言葉遣いがすごく丁寧で、年上の人と話すことに慣れていて、すごいなと感じました。自分なんて、取材されることもほとんどないので、麟太郎くんを見習わないといけないですね」

 佐々木が渡米1年目に残した成績について、「苦戦した」と受け取っている日本の野球ファンは多いようだ。そんな印象を伝えると、井上はこう答えた。

「麟太郎くんも自分も、特に強いチームが集まる『パワー4カンファレンス』(佐々木のスタンフォード大はアトランティック・コースト・カンファレンス、井上のカンザス州立大はビッグ12カンファレンス)にいるんですけど、僕が今季に対戦した投手の平均球速が91.1マイル(146.6キロ)でした。それはNPBの投手の平均球速と同じくらいだそうです。それに、アメリカの投手は上背があって、ホームに近づいて投げてくるので、数字以上に速く感じます。そこまでレベルが高いなかで、麟太郎くんは1年生でも全試合に出場して、経験を積んでいるのですから。来年はもっと期待できると思いますよ」

 一方、アメリカでの3年間を戦った井上にとっても、分岐点が近づいている。大学生活はあと1年残すものの、アメリカでは大学3年生以上、もしくは21歳以上の選手はドラフト対象になるのだ。

 7月13日、14日(現地時間)に開かれたMLBのドラフト会議では、井上の指名はなかった。それでも、「日本でプレーしたい思いもすごく強い」と語るように、井上はNPBドラフトでの指名を熱望している。

「MLBドラフトにかかれなかったのは悔しいですが、次に向けて頑張ります。小さなチャンスでもつかみ取れるように、準備したいと思います」

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