【高校野球】「公立で1位になる」から「大阪で1位になる」へ 堺東が挑む集大成の夏 (3ページ目)
このグラウンドで、本気でやる楽しさと大切さを学び、一つひとつ乗り越えてきた。また、長野はこの2年半で3度も大きな故障を経験している。
「最初は1年の時、ノックの打球を追いかけて頭から突っ込み、防御ネットの足元に頭をぶつけて切り、縫うケガをしました。2年の春には、試合でサードを守っていたら、ゴロが跳ねて唇を縫って、歯も3本折れました。この春も、3月の練習中にノックの打球がライナーであごに当たり、骨折してしまって......。いろいろありました」
鈴木も回想する。
「でもね、あごに当たった時、本人は『大丈夫です』ってそのまま練習を続けたんです。ウチのチームは『痛い』と言っちゃダメなんてルールは一切ありません。でも、そういうことじゃなくて、その少しあとに、ウチではめったにない広島遠征が控えていて、『ここで自分が抜けたらダメだ』という責任感で痛みに耐えていたんだと思います。
打球が当たったあと、ノックの途中からいつもの元気な声が聞こえなくなって、おかしいと思って病院に行かせたら骨折していて......。でも、1年の時は頭をぶつけて泣いて、『高校生にもなって痛いくらいで泣くなよ』と言った子が、キャプテンになってチームのために痛みを我慢して、練習したり、遠征にも同行したり。僕にとっては、こういうのが本当の成長で、それ以外にないですよ」
【高校野球は3年がちょうどいい】
大阪大会の開幕が近づいていたある日、鈴木の誇らしげな語りの向こうでは、日が落ちた高台の静かなグラウンドに、ティーバッティングの乾いた音だけが響いていた。このメンバーで過ごす日々も、あとわずか。選手たちが成長し、たくましさを見せ始めた頃に終わりを迎えるのが、高校野球だ。グラウンドを見つめる指揮官の背中は、どこか寂しさが漂っていた。
「高校野球は3年っていうのが本当によくできていて、もう少しこいつらと一緒にやりたいなって思うくらいが、ちょうどいいんですよ」
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