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【高校野球】「公立で1位になる」から「大阪で1位になる」へ 堺東が挑む集大成の夏 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

 正直な感想だろう。しかし、それでは王者相手に食らいつけない。鈴木が言う。

「簡単にストライクを取りにいけないのはわかります。でも、そのなかでストライクを投げて、27個のアウトを取らなければ勝負になりません。大阪桐蔭クラスの投手になると誰が投げても球は速いけど、それに対して三振の山だと何も起こらない。いつもどおりの力を出させてくれないのが大阪桐蔭の強さですが、こちらは自分たちの力を出し切り、ミスなくやりきった時にどうなるかなんでね」

 春の戦いは成長を感じさせたが、大阪桐蔭戦ではまだ選手たちが相手を見上げていた。鈴木が言う。

「ウチの選手の大半は中学時代、軟式野球の部活でプレーしていて、硬式のクラブチームで中心選手として出ていたのは稀です。でもね、選手に言うんです。『おまえは補欠やったかもしれんけど、高校で勝てば大逆転やないか。ここでひっくり返せばカッコええやないか』って。だからいつまでも見上げとったらあかんのですよ」

【本気でやる楽しさと大切さを学んだ】

 主将の長野は中学時代、名の知れた硬式クラブチームの補欠だった。自主性を重んじるチームだったが、自分としてはもっと厳しい環境でやりたかったと話す。ただ、堺東にはそこまで強い覚悟を持って入ってきたわけではなかった。それが......。

「高校野球を楽しめたらいいかな......くらいの気持ちだったんです。でも、それがいつの間にか変わっていったというか。今はやるなら本気でやりたい、やるなら絶対に勝ちたいと思うようになって。(鈴木)先生から『練習中は笑わなくていいから、試合で勝ってみんなで笑おう。そこを目指してやろう』と言われて、いつもそこを頭に置いています。

 真剣にやるほうがしんどいけど、楽しいし、勝った時の喜びも、負けた時の口惜しさも全然違う。以前なら『負けてもしゃあない』って感じだったのが、今は一生懸命やってきた分、本気で悔しい。自分でもびっくりするくらいいろいろ変わりました。まさか高校でキャプテンをやるとは思っていなかったですし、こんな気持ちになって高校野球をやるとも思っていませんでした」

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