検索

【社会人野球】ドラフト指名漏れから2年 JR東海の4番・水谷祥平の「オレ、ヘボやな」から始まった意識改革 (2ページ目)

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu

【悔しさを力に変えた意識改革】

 プロへの思いについて尋ねると、「夢はありますが、考えたらよくないタイプなので、目先の試合に集中するようにしています」と苦笑い。大学4年時も、主将の重圧やプロ入りへの強い思いからか、春は打率.179(2部リーグ)、秋は.237(1部リーグ)と結果を残せなかったこともあって、慎重に言葉を選ぶ。

 それでも前述のJABA静岡大会だけでなく、今季公式戦では多くの試合で安打を放っており、苦渋を味わった過去を払拭する活躍を見せている。

 原動力となっているのは、悔しさを糧にした意識改革だ。昨年、チームは都市対抗出場を逃し、JR東海から11人が補強選手として東京ドームでプレーしたが、水谷は漏れた。主力の多くが抜けるなか、「オレ、ヘボやな」と猛練習に明け暮れたという。

 また、「体が資本」と食事やトレーニングも改善。それまでは脂っこいメニューが好物だったが、東洋大時代に学んだ栄養講習を思い出し、チームのトレーナーに教わった定食屋で良質なタンパク質と米を意識して摂取。

 さらに腹圧を意識することで、スイングに力強さが増した。

 春先の好調は、そうした努力の成果だ。それでも水谷に慢心はない。

「大学時代は気持ちが先走ったけど、今は情熱をたぎらせながらも頭は冷静に。グラウンドで、体が勝手に動くのが理想です。今年は都市対抗に絶対出たいんです!」

 チームの4番としての自覚を胸に、日々練習に打ち込んでいる。ひと回りもふた回りも勝負強くなった「熱男」が、チームと自らの未来を切り拓くために躍動する姿は、きっと見る者の心をつかむだろう。

著者プロフィール

  • 高木 遊

    高木 遊 (たかぎ・ゆう)

    1988年生まれ、東京都出身。大学卒業後にライター活動を開始し、学童・中学・高校・大学・社会人・女子から世代別の侍ジャパン、侍ジャパントップチームまでプロアマ問わず幅広く野球を中心に取材。書籍『東農大オホーツク流プロ野球選手の育て方〜氷点下20℃の北の最果てから16人がNPBへ〜』(樋越勉著・日本文芸社)『レミたんのポジティブ思考"逃げられない"な"楽しめ"ばいい!』(土井レミイ杏利著・日本文芸社)『野球で人生は変えられる〜明秀日立・金沢成奉監督の指導論(金沢成奉著・日本文芸社)では、編集・構成を担当している。

フォトギャラリーを見る

2 / 2

キーワード

このページのトップに戻る