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【高校野球】幸福の科学学園にプロ注目のドミニカ人バッテリー 投手エミール・プレンサの父は中日在籍時に10勝を挙げたあの投手 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

幸福の科学学園のドミニカ人留学生、エミール・プレンサ(写真左)とユニオール・ヌニエス photo by Kikuchi Takahiro幸福の科学学園のドミニカ人留学生、エミール・プレンサ(写真左)とユニオール・ヌニエス photo by Kikuchi Takahiroこの記事に関連する写真を見る 留学生に日本語を指導する茨田大智コーチは、「エミールは何も考えていないように見えて、さりげなく椅子についたゴミを払ったうえで目上の人に差し出したり、意外と気が利くんですよ」と評した。

 エミールは投手として最速144キロを計測し、打者としては高校通算15本塁打を放っている。現段階では投球よりも、打撃面の評価が高いようだ。

 打撃練習では本塁から約90メートルの左翼フェンスを軽々と越え、深い森へと消えていく推定120メートル級の特大弾を何本も放った。ただパワーがあるだけでなく、スイングにキレがある。インパクトの瞬間に「キィン!」とひときわ強烈な打球音が響き渡った。棚橋監督は「低反発バットでも左中間に場外ホームランを打ったんですよ」と教えてくれた。

 足も速く、登板しない時には中堅の守備につく。球際に強いプレーが魅力だという。

【フォーム改良で球速アップ】

 投手としては粗削りで、棚橋監督は「三振を15個取るような試合もあるけど、同じくらいフォアボールも出るんです」と苦笑する。それもそのはずで、本格的に投手に挑戦したのは昨年の1月から。まだ1年あまりしか投手経験がないのだ。

 最初はルールもよくわかっておらず、ボークを連発したという。エミールは本気なのか冗談なのか判然としないトーンで、こう訴えた。

「(セットポジションから)グラブをポンポン叩いたら、ボーク取られた。ドミニカにはそんなルールない」

 投手転向時点では球速は110キロ台で、コントロールも壊滅的だった。だが、練習を続けるなかで球速は向上し、コントロールも徐々によくなっている。エミールは目を輝かせて、最近あった技術的な進化を語ってくれた。

「コントロールは前とちょっと違うです。メカニックを直して、よくなった」

 以前までは右腕を押し出して投げるフォームだったのが、上から腕を叩けるようになり、パフォーマンスが向上したという。

 それにしても、父は元プロ野球投手なのに、投球は教わらなかったのか。そんな疑問をぶつけると、エミールはこう答えた。

「わたしのお父さん、いつもバッティングを教えていた」

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