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創部3年でセンバツ甲子園へ! 沖縄の新鋭校・エナジックスポーツ高等学院ってどんな学校? (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 還元水で財を成したエナジックグループの大城博成会長は、生家の隣で廃校となっていた旧久志(くし)小学校の跡地にエナジックスポーツを開校させた。故郷を活性化させることが目的だった。

 沖縄県は北部、中部、南部に分かれ、北部にある名護市は人口6万4727人(2024年11月30日時点)。過疎化に加え、10代以下は7611人と高齢化が進んでいる。

「来てみてわかったでしょ? 中部はずっと住宅がない。石川(現・うるま市)を過ぎた頃から、ほとんど山だったでしょ? 高校はみんな、定員割れしている」

【1期生16人中15人が野球部員】

 そう語る神谷監督は、中部最北の読谷出身だ。美里工業での再任期間が翌月に控えた2021年2月、地元紙でエナジックスポーツの開校を知った。

 だが、春になっても動き出した様子が見られず、エナジック社の硬式野球チームのコーチに問い合わせた。高校野球部の状況は把握していなかったが、自身の名が監督候補に挙がっていると知らされた。

「だったら紹介してくれんか」

 面接を受けると、話はとんとん拍子で進んだ。美里工業の外部指導者として2021年夏の大会を終えたあとの8月、「監督人生の集大成」としてエナジックスポーツに赴任した。

「僕の同級生なんてほとんどご隠居様です。もう69歳だからね。65歳で再任用も終わったら、あとはほとんど仕事ないでしょ? またこうして子どもたちと夢を追えるのは幸せです」

 入学した1期生16人のうち、15人は野球部員だ。残り1人は女子ゴルフ部員で、エナジック社に務める社員の娘が入学した。

「野球部員はもっと集めようと思えば、集められました。僕は美里工、浦添商、中部商でずっと100人以上のチームを見てきて、公立高校の狭くて共用のグラウンドで練習させるのはけっこう大変だったんです。智弁和歌山みたいに少数精鋭が一番いいかなと思って、15人に絞りました」

 その名が示すとおり、スポーツに特化した高校だ。開発途中で手放された瀬嵩(せだけ)カントリークラブをエナジック社が買い取り、ゴルフ部は極めて恵まれた環境で日々練習している。

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