【ドラフト2024】山本昌が上位候補の右投手6人を最終チェック 最速159キロ・中村優斗の評価は? (6ページ目)
最速157キロ右腕、法政大の篠木健太郎 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る篠木健太郎(法政大/177cm・80kg/右投左打)
母校の日大藤沢高が練習試合をしたこともあって、木更津総合高時代から見させてもらいました。当時から140キロ台後半のボールを投げていて、すばらしい素材だと感じていました。あれから4年が経って、体もひと回り大きくなってスケール感が増しています。ストレートで押す投球スタイルですが、ボールに伸びがあって、とくに指にかかった球はすばらしい。投げっぷりがよく、プロでも先発として長いイニングを任せたいタイプに見えます。ただ、力むと右肩が上がりきる前に右腕を振ってしまい、シュート回転が強くなる傾向があります。右肩をしっかりと回しきって、ひと間(ま)つくってから投げられると、シュート回転が軽減されるはずです。
* * * *
左投手・右投手合わせて13人の投手を見させてもらいましたが、今年は左の好投手が非常に多い印象を受けました。プロ球界は左の強打者が多いので、左投手の需要はますます高まっているはず。今年のドラフト会議では、多くの左投手の名前が呼ばれる予感がします。
13名のなかでも、金丸くん(関西大)と中村くん(愛知工業大)の完成度は突出していました。故障さえなければ、すぐに一軍で活躍できるでしょう。短いイニングであれば、伊原くん(NTT西日本)の能力も面白いです。
ここ数年は大学・社会人に好投手が多いと感じます。現場の指導者の方々が練習法を確立し、選手自身も勉強を欠かさないからこそ、レベルアップしているのでしょうね。今年のドラフト会議ではどんな選手が指名されるのか、私も楽しみにしています。
山本昌(やまもと・まさ)/1965年8月11日、神奈川県生まれ。84年に日大藤沢高からドラフト5位で中日に入団。5年目のアメリカ留学を機に才能が開花。シーズン途中に帰国するとすぐに一軍に定着し無傷の5連勝でリーグ優勝に貢献。その後はチームのエースに成長し、3度の最多勝に輝く。94年に投手最高の栄誉である沢村賞を受賞。2006年、史上最年長41歳でのノーヒットノーランも達成し、以降も数々の歴代最年長記録を樹立。08年 通算200勝を歴代最年長の42歳で達成。 15年に史上初の50歳での登板を最後に惜しまれつつも現役を引退。引退後は、野球解説者・スポーツコメンテーターとして活動する傍ら、自らの経験を基に講演会の講師としても活躍中。また、現役時代からの趣味であるラジコンなど、さまざまな特技と持ち前の明るいキャラクターを生かし活躍中。2022年野球殿堂入りを達成
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
フォトギャラリーを見る
6 / 6