【ドラフト2024】慶應高で甲子園→アメリカの大学へ進学 「異色キャリア」の根岸辰昇はNPB入りを果たせるか (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 アメリカの大学に4年間通い、とりわけ成長したのが大学最終年度だったと振り返る。ノースカロライナA&T州立大コーチに誘われて転校すると、待っていたのは過酷な環境だった。

「この1年間はけっこう激動でしたね。日本人で通っている人はほとんどいなかったと思いますし。文化から全部が違いました。正直、あまり治安もよくないですし......。そこで野球をやるとなると、日本人ではたぶん僕が初めてです」

 渡米当初は英語を身につけて学業にも励み、野球でよりいい環境を求めて最終年度に転校した。当地でマイノリティの根岸にとって決して簡単な環境ではなかったが、その分、得たものも大きかったという。

「所属しているリーグのレベルが高いです。毎年メジャーリーグのドラフト選手も出ていますしね。今年、自分のチームからキャッチャーがロイヤルズに行きました。去年もピッチャーが1人、メジャーに行っています。かなり高いレベルにありますね」

 切磋琢磨してきたのは黒人やラティーノだ。身体能力の高い選手たちと互角に渡り合うためには、体を鍛え上げる必要がある。大谷翔平(ドジャース)や鈴木誠也(カブス)が渡米後に体を大きくしたように、根岸もアメリカの大学時代に強靭さを身につけた。

「向こうでは、体を大きくしないとチーム内での競争にもなかなか勝てないので。日本にいるトレーナーや、アメリカのトレーナーと相談し、(体を)大きくしながらスピードもつけることを目指しました。高校の時から足も速くなっているので、割といい増やし方ができているかなと思います」

 180センチの根岸は筋骨隆々で、体重は高校時代から12キロ増えて95キロ。日本にいた頃よりパワーとスピードを増し、選手としてはるかにレベルアップした手応えがある。

 現在24歳で、日本で言うと高卒6年目、大卒2年目と同じ世代だ。高卒では広島で主軸を張る小園海斗や巨人のエース・戸郷翔征、大阪桐蔭で全国制覇を達成した根尾昂(中日)&藤原恭大(ロッテ)。大卒組では阪神の森下翔太や日本ハムの矢澤宏太、西武の蛭間拓哉らがいる。

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