【ドラフト2024】慶應高で甲子園→アメリカの大学へ進学 「異色キャリア」の根岸辰昇はNPB入りを果たせるか (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 今回の入団テストに参加した37選手のなかで、スカウトに声をかけられて参加した根岸は、いわゆる"異色のキャリア"を誇っている。

 2018年夏に慶應義塾高校で甲子園に出場すると、卒業後はアメリカのオレンジコーストカレッジへ。ところが新型コロナウイルスの感染拡大と重なり、1年後、ミドルテネシー州立大学に移って2年間プレーした。大学最終年度はノースカロライナA&T州立大学に所属し、今夏にはNCAA(全米大学体育協会)のディビジョン1に所属するマイノリティ選手のオールスターにも出場している。

 甲子園出場後にアメリカの大学に入学した選手と言えば、今年花巻東高校からスタンフォード大学に進学した佐々木麟太郎の決断が注目されたが、根岸も慶應大学に進学できたにもかかわらず、異国の大学に進んだのはなぜだろうか。

「もともとメジャーリーグが好きだったのもあります。高校の時に、アメリカでプレーしていた根鈴(雄次)さんに教わって一気にバッティングがよくなって。それで自分の可能性をアメリカに感じて、アメリカの大学に行く道を選びました」

 明朗な口調で、みなぎる自信も伝わってくる。その土台にあるのは、自ら選んだ道で得たものだ。

「アメリカに行って一番よかったことは、いろんな考えや文化、価値観のなかで育ってきた人など、チームにいろんな人がいることです。そういう人たちとコミュニケーションを取ったり、関係を築いていったりするのは向こうならではだと思うので。そうして養った能力は、日本はもちろん、どこに行っても役に立つと思います」

【入団テストで発揮したアメリカでの経験】

 午後のライブBPでは実戦から3か月以上も離れてはいたが、バットの芯を外しても広角にヒットコースに持っていくという持ち味を出せた。

「アメリカの大学では成績が出ないとクビになることもあり、大袈裟に言えば『1打席、1打席にキャリアがかかっている』と言われました。重圧のなかでプレーするのは、日本のアマチュア選手より慣れていると思います」

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