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立教大史上初の女子応援団長はチアとの「二刀流」 望月蒼生が第93代団長になったワケ (2ページ目)

  • 大友良行●文 text by Ohtomo Yoshiyuki

 7回が終わると、またバックヤードに戻りスーツに着替える。そして試合終了後、再び対戦チームとエール交換するため壇上に登る。リーダーとチアの振り分けをガラッと変えなくてはならなく、神経を使うと望月さんは言う。

 3部門の部活動そのものが根本的に違うため、それぞれの応援に関する意識の違いはある。今までは、歴史と伝統を誇るリーダー部が強すぎるところがあったが、お互いを認め合い、協力し合わなければならないと望月さんは言う。

「入学直後は、昔からの応援団の大変な部分しか目につかず、辞めてしまう人が多くてショックでした。そういった流れを止めたり、変えられたりできないだろうかと思っていたので、団長に立候補しました。ただ、団長にはなったけど、あくまでリーダー部ではなくチア部なので、エール交換は学生服ではなく黒のスーツでもいいと言われています。

 先輩やOB、OGの方々からは『世代を超えて新しい応援団をつくってください』と直接励ましをいただいています。55年ぶりに箱根駅伝出場を果たし応援した時、今年春のリーグ戦で20試合ぶりに慶應大に勝った時は本当にうれしかったです。応援席にいる方々から『勝ったのは君たちのおかげだよ』と声をかけていただきました。応援団にいてよかったと思いました」

【減り続ける男子の応援団】

 立教大学応援団は、リーダー部、吹奏楽部、チア部で100名を超える大所帯となっているが、年々、男子部員が減り続けている。

 昨年12月、文部科学省が学校基本調査の確定値を公表した。それによると小、中学生の在学者数が過去最少となる一方で、女子の大学進学率は約295万人と過去最多を更新している。さらに最近のダンスブームもあって、チア志望の女子学生が多い。

 リーダー部3年の中村仁香(にこ)さんは、次のように語る。

「私たちの同期3名は全員女性で、リーダー部なので来季の団長は私たちのなかから選ばれることになります。私は12年間付属の女子校でバレーボールを続けてきて、部長役までやっていたのですが、あまりに勝てなくて。それでリーダー部はどうかなぁと思ったのですが、応援団章を胸につけた学ランに抵抗があって......最初は迷いましたが、結局入ることになりました。野球みたいにスタメンがないので、それなら自分も輝けるかなと。野球のルールもまったくわからず、はじめは恐れ多くて上級生に口もきけませんでした」

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