【夏の甲子園】早稲田実業・宇野真仁朗の足に脱帽 鳴門渦潮「相手のスキを突く四国の野球を相手にやられてしまった」 (2ページ目)
【鳴門渦潮を飲み込んだ、早稲田実業・宇野の走塁】
早稲田実業側の大声援以上に脅威となったのが、宇野の打撃であり、走塁だった。
鳴門渦潮は2回表にも宇野に走者一掃の逆転二塁打を放たれたが、4対6とリードされて迎えた8回にも、彼に足で見せ場をつくられてしまった。レフトが打球の処理をもたつく間に二進を許し、続く打者の二塁ベース寄りのゴロを捕ったセカンドの送球がそれる間に宇野の生還を許した。それが試合を決定づけることになった。
鳴門渦潮の捕手・藤原が言う。
「徳島大会なら僕の声が通ったと思うんですけど、甲子園のこの観衆ではピッチャーまで声が届かなかった。ランナーが三塁を回って走ってきたのはわかっていたので、『ホームに投げろ!』と言ったんですけど......声が届かないのは初めてのことでした。あの走塁に、早稲田実業の走塁に対する意識の高さが出ていると思いました」
試合後、「宇野の走塁で選手が動揺したのでは?」との問いに、鳴門渦潮の森恭仁監督はこう答えた。
「......そうですね。監督の私でさえ経験したことのない大観衆のなかでの試合。アルプススタンドの声援がすごくて自分たちの声が聞こえないなかで、宇野くんに素晴らしい走塁をされていました。
早稲田実業の選手たちは普段からこういう大観衆のなかで試合をしているんでしょうけど、アルプススタンドの観客だけで徳島大会決勝の倍くらいの人数いますからね。(自分たちは)普段どおりのプレーができず、少しだけ反応が遅れたことが点差につながったと思いますし、そういう点の取られ方をしたことがあとあとダメージになりました」
早稲田実業の攻守のキーマンである宇野の研究は決して怠っていなかった。「その成果はあった」と森監督は言う。
「宇野くんに関しては、うちの記録員がかなり研究していたので、ある程度は抑えられたと思いますし、研究の成果が出ていた」
しかし、走塁は想像以上だった。
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