全校生徒18人、生徒募集停止の措置命令...それでも和歌山南陵高校が新たに「レゲエ校歌」をつくったワケ (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 楽曲を提供した横川は「こんな騒ぎになると予想できたら、怖くてつくれなかったかもしれません」と笑いつつ、「レゲエ論争」に関してはこう語った。

「ロックもそうじゃないですか。『こんな曲はロックじゃない』とか言われたりして。いつの時代もそういう論争はあるのかなと思います。むしろ自分たちの音楽がそんな論争の渦中に入れてうれしいですよ」

 7月23日の3回戦・智辯和歌山戦に校歌制作に携わった横川、WARSAN、INFINITY16の3名が紀三井寺球場に応援に駆けつけた。試合は0対7で和歌山南陵が敗れたものの、WARSANは感慨深そうにこう語った。

「18人の青春......って、自分だったら寂しいと思うんです。そんななか、理事長が横川翔に声をかけて、こんな面白いことをしようとしてる人がいるんだ。絶対にやりたい。絶対に子どもたちの背中を押せる曲をつくりたいと思いました。俺らは俺らの音楽をつくっただけですけど、南陵高校の生徒以外にも『あの歌に元気をもらった』という声をいっぱいもらいました。これこそ音楽の一番大事なメッセージだし、南陵高校が『これから本当に一歩前へ踏み出すぞ!』というパワーとマッチしたんじゃないかと思います」

 誰も聴いたことのない校歌に、眉をひそめた人間も多かったに違いない。それでも、新生・和歌山南陵の経営陣には、どうしても世間に訴えたいことがあった。

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著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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