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常廣羽也斗と下村海翔を手懐けた人間力 青学大・渡部海は2年後のドラフトを賑わせる逸材 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 目標とは、前出のとおり「プロに入ってすぐ活躍できる選手」である。大学トップクラスの捕手になったからといって、満足はできない。同世代の逸材たちは、すでに高いレベルで荒波にもまれているのだ。

 同じ和歌山県で高校野球を戦った1学年上の松川虎生はロッテで、U−18代表でチームメイトだった松尾汐恩はDeNAで、それぞれ若くしてプロの正捕手の座を射程圏にとらえている。

 とくに松尾は同学年であり、U−18代表では正捕手の座を譲っている。三塁手としてプレーした当時について、渡部は「悔しかった」と振り返りつつ、こんな負けん気ものぞかせている。

「キャッチャーとして負けているとは思っていないので。大会までの準備期間が短く、監督の考えもあってのことですから。勝負して負けたという思いはありません」

 常廣、下村、松井大輔(NTT西日本)ら主力投手が卒業した今年、渡部にとって真価の問われるシーズンになる。

「チームを勝たせるキャッチャー、というのが一番の評価になるので。そのために今年も投手としっかりコミュニケーションをとっていきます」

 練習グラウンドに出ると、渡部はチームのウォーミングアップの前に約12分にわたって個人アップを行なう。トレーナーに教わったメニューが大半だが、こだわっているのは「毎日同じことをやり続ける」こと。昨年は1回たりとも妥協することなく、やりとおした。

 毎日、同じ顔でグラウンドに立ち続ける。それが捕手・渡部海のルーティンなのだ。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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